「下着替えたい」住民に応え営業再開 地震被害の洋品店 輪島市門前の総持寺通り商店街

被災した商店街でいち早く営業を再開した洋品店の下口さん=16日午後0時半、輪島市門前町門前

 「下着を替えたい」。着の身着のままで避難した能登半島地震の被災者たちの間で切実な声が上がる。支援物資として被災地に送られているが、十分行き渡っているわけではない。輪島市門前町の総持寺通り商店街にあるシモグチ洋品店は、住民の声を受け、壊れた店舗一角に下着を並べ営業を再開した。

 店主の下口十吾さん(46)ら家族8人が暮らす自宅は全壊、隣接する店舗も床や壁に亀裂が入り、陳列棚が倒れて商品が散乱した。家族は店舗2階の倉庫に避難し、長男隼汰さん(17)、次男凱叶さん(15)、三男碧斗さん(11)が1週間かけて店内を片付けた。

 9日、市内で自衛隊の入浴支援が始まると「下着を替えて気持ちをすっきりしたい」という問い合わせが増えたため、カウンター前に下着や防寒具などを並べ、10日に営業を再開した。

 早速買いに訪れた輪島市門前町走出に住む松岡志郎さん(80)は「洗濯ができず、服は使い捨て。下着がなくなったので買えて助かった」と喜んだ。

 シモグチ洋品店は2007年3月の地震で店舗が全壊。新しくした店は再び被害を受けた。下口さんは「商店街で80年以上、地域の人に支えてもらった恩返しをしたい」と話した。

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