【袴田さん再審】弁護団「捜査の違法性」指摘 最大の争点の5点の衣類に「血痕の赤みは残らない」と強調 静岡地裁

袴田巌さんの再審=やり直しの裁判が前日16日に引き続き、静岡地裁で開かれました。弁護側は取り調べの録音テープを法廷で流して、捜査の違法性を指摘し、5点の衣類に付着した血の赤みは消えると強調しました。

ひで子さん「無罪だと思って安心している」

袴田巌さんは1966年、旧清水市でみそ会社専務一家4人を殺害したなどとして死刑が確定しています。姉のひで子さん(90)は、17日午前8時半ごろ、自宅のある浜松市を出発しました。

袴田ひで子さん
Q.きょうは取り調べテープ。どんな裁判に期待?

A.「私は無罪だと思って安心しているが、弁護士さんは大変。1日反論しなきゃならんから。そのご苦労を労うという意味で」

弁護団 遺体の写真示し「複数犯」と主張

17日の公判は、前日に続いて弁護団の立証が行われました。弁護団は当初から複数犯による犯行としていましたが、16日、その根拠として被害者に縛られた痕があったと新たな主張を展開。17日はその証拠として、遺体の写真およそ40枚を傍聴席には見えないように裁判官らに示しました。

弁護団「長時間の違法な捜査」

また長時間にわたる違法な取り調べがあったとして、録音テープを法廷で流しました。

船引とわ記者:「音声は聞き取りづらく、モニターに映る書き起こし文を読んで、やっと意味が理解できるものでした。しかし、警察官が同じ質問を繰り返したり、『死刑になったってしょうがない』と発言したり、執拗に自白を迫った様子は伺えました」

弁護団「5点の衣類はねつ造」

そして最大の争点となっている犯行着衣とされる5点の衣類に付着した血の色について、弁護団は冒頭陳述を行いました。

弁護団は「みその中に1年2カ月以上つかっていれば、みその色が濃くなり、血痕の赤みは残らない。弁護団の実験でも赤みが消えることが分かっている」と主張。その上で「5点の衣類は犯行着衣ではなく、袴田さんを有罪にするためのねつ造証拠であり、袴田さんは無実だ」と訴えました。

小川秀世弁護士:「裁判官もうなずいていただいたと思いますけど、きょうは圧倒したというふうに私の印象は持っております」

袴田ひで子さん:「きょうは胸を張って私、聞いていました。最初からひと山もふた山もみ山も越した。勝利は見えております」

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