〈1.1大震災〉大イチョウ無事「ほっ」 氷見、上日寺の国天然記念物

無事だった国天然記念物の大イチョウとずれた支柱=氷見市朝日本町の上日寺

 氷見市朝日本町の高野山真言宗上日寺は、能登半島地震で多数の仏像や墓石などが被害に遭った一方、シンボルでもある国天然記念物の大イチョウは無事だった。柳原龍成住職は「折れたら人が下敷きになったかもしれない。寺の存続に関わる被害がなくよかった」と胸をなで下ろしている。

 大イチョウは樹齢が千年超で、高さ24メートル、幹回り12メートルで雌株としては全国最大級。柳原住職によると、地震で境内の樹木は大きく揺れ、大イチョウは支柱にずれが生じたものの被害は確認されなかった。

 同寺には毎年、多くの初詣客が訪れ、1日の発災時も境内に約50人がいたという。寺の顔である木造の観音堂には約20人おり、柳原住職は倒壊の恐れから声を張り上げて外への避難を呼び掛けた。

 目立つのは墓石の倒壊で、約40基の大半が崩れたりずれたりした。修復費用は檀家(だんか)負担で、寺は一括して業者に修繕を依頼する。

 寺の前住職は穴水町出身で能登にゆかりがある。北陸ブロック選出の宗会議員を務める柳原住職は「自坊よりも能登の寺が心配。早く向かいたいが、今は緊急車両が優先だ」と話した。

  ●市文化財3件で被害

 市によると、市内の文化財3件が損傷を受けた。国登録有形文化財の湊川左岸に並ぶ大正時代の倉庫では土壁の崩落などが確認され、市指定名勝「布勢の円(まる)山(やま)」にある県内最古の万葉石碑は倒れた。大栄寺にある市指定文化財の木造十一面観音菩薩立像も左手にあった水差しが落下した。

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