阪神・淡路大震災、節目の30年へ 災害で命奪われぬ社会実現を 重み増す被災地の教訓

ろうそくの明かりで浮かび上がった「ともに 1.17」の文字。被災地は手を携えて前へ進む=17日午前5時46分、神戸市中央区加納町6、東遊園地(撮影・中西大二)

 阪神・淡路大震災の発生から29年となった17日、兵庫各地は終日、深い祈りに包まれた。安全神話が崩れ去った未曽有の大災害は来年がいよいよ30年の節目。記憶の風化にあらがい、被災地発の教訓を広く共有するためにも今を生きる私たちの取り組みが問われる。

 世代交代が記憶の継承を困難にさせるという「30年限界説」。阪神・淡路はまさにその時期を迎えつつある。しかし一方、震災後に生まれた世代による語り部活動など新たな挑戦も始まっている。

 災害で命を奪われない社会。その実現にはなおあまたの不備があることを、元日の能登半島地震は突きつけた。6434人が亡くなった阪神・淡路の教訓は古びておらず、過去に学ぶ重みは増している。

 何があったか。何ができなかったか。ともに語ろう。ともに知ろう。命を守るために。(上田勇紀)

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