「シュタイナーは自身の人気の犠牲になった」元F1最高権威者エクレストンやレッドブルのマルコがハース解雇の理由を示唆

 レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、ハースF1のチーム代表を長年務めたギュンター・シュタイナーについて、“人気が出すぎた”ことが彼のためにならず、最終的にチームから解任されることになったと考えている。

 シュタイナーはハースに8年間在籍したが、2023年末のクリスマス休暇中にチームを離れることになった。ハースはシュタイナーの解任と、エンジニアリングディレクターである小松礼雄のチーム代表就任の主な理由として、2023年のチームの大幅な結果不足と散々なパフォーマンスを挙げた。

 ハースの思わしくない2023年シーズンとその低調な成績は否定できないが、マルコはシュタイナーの解任には他にも理由があったのではないかと示唆し、その理由は高い評価を受けているNetflixのドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive(邦題:栄光のグランプリ)』の数シーズンでシュタイナーが獲得した、即席のスターとしての地位に関連していると述べた。マルコによれば、ハースはそれを好ましく思っていなかったかもしれないという。

「こういう表現をしよう。Netflixのようなドキュメンタリーで人気が出すぎる人物は、離れる傾向がある。あまりに早く高く飛ぶと、より早く落下してしまう」とマルコは説明した。

「私が聞いたのは、彼が自分の人気をチームの株式に変えたいと思っていたということだけだ。オーナーのジーン・ハースはそれが気に入らなかった」

「我々のスポーツでは、チームは常に個人よりも優先されるというのが真実だ。シュタイナーは自身の人気の犠牲となった」

2022年F1アメリカGP ギュンター・シュタイナー(ハース代表)と、シュタイナーのTシャツを着るフレデリック・バスール(アルファロメオ代表)&マリオ・イゾラ(ピレリ・レーシング・マネージャー)

 F1の元最高権威者のバーニー・エクレストンもシュタイナーの状況に言及し、F1ファンの間でのシュタイナーの人気が彼の実績と釣り合わなかったと示唆した。

「F1でこれほど成功できておらず、それでもアメリカのドキュメンタリーのおかげでスーパースターになったチーム代表はいない」とエクレストンは語った。

「私の時代にはパフォーマンスのみが重視されていたので、こんなことは決して起こらなかった」

 アルファタウリF1のチーム代表で、2023年末にF1から引退したフランツ・トストは、シュタイナーがハースによって格好のターゲットにされたと考えている。

「私は、ギュンターとは個人的にも仕事上でも非常にうまくやっていた。彼は我々のスポーツのエキスパートだった。私が言いたいのはそれだけだ」

「F1におけるプレッシャーは過酷だ。マシンのさらなる開発がシーズン途中でうまくいかなかった場合、人々は責任を追及する相手を探すものだ」

2023年F1第10戦オーストリアGP FIA会見 フランツ・トスト代表(アルファタウリ)、ギュンター・シュタイナー代表(ハース)、クリスチャン・ホーナー代表(レッドブル)

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