「グレイトギフト」放送スタート直前、髙野渉プロデューサーが注目ポイントを明かす! “新時代の医療ミステリードラマ”は初回から衝撃の結末が…!?

テレビ朝日系で本日1月18日よりスタートする新ドラマ「グレイトギフト」。「ラストマン-全盲の捜査官-」「マイファミリー」「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(すべてTBS系)などを手掛けてきた脚本家・黒岩勉さんが、大学病院を舞台に描く完全オリジナルのサバイバル医療ミステリーです。

ある患者の不審死をきっかけに、うだつの上がらない病理医・藤巻達臣(反町隆史)が完全犯罪の殺人を可能にする未知の殺人球菌“ギフト”を発見。院内のし烈な権力争いに“ギフト”を利用する強欲な医師たち、“ギフト”を金に換えようとする権力者たち、“ギフト”による謎の連続殺人を追う警察組織…。さらに、藤巻の最愛の妻は重い病に倒れ、彼は殺人球菌をめぐる陰謀の渦に飲み込まれていくことに。

いよいよ始まる「グレイトギフト」。毎週どんな展開が描き出されるのか期待は高まるばかりですが、その放送を前に、ここでは本作をプロデュースする髙野渉さんのインタビューをお届けします。豪華キャストのキャスティング裏側や、「グレイトギフト」誕生のきっかけに迫りました。

――まず、「グレイトギフト」を企画・制作しようと思ったきっかけを教えてください。

「もともと黒岩さんが書くセリフやキャラクターがすごく好きで、僕個人が大ファンだったのですが、ゼネラルプロデューサーの横地郁英が黒岩さんと何度かご一緒した機会があって、そのご縁でチャンスに恵まれたことが始まりです。せっかく黒岩さんとご一緒できるので、『じゃあ木曜ドラマ枠でどういうお話を作っていこうか』という話になって、今の木ドラ枠の王道ジャンルが医療ものの作品だったので、せっかく黒岩さんとご一緒できるのなら、黒岩さんにしか書けない“新時代の医療ドラマ”が逆に作れるんじゃないかと。最も実績のあるジャンルだからこそ、逆に挑戦のしがいもあると思ったので、企画についていくつかキャッチボールをさせていただく中で、黒岩さんから出てきた案が今回の『グレイトギフト』でした」

――そもそも企画の立ち上げはいつ頃だったのでしょうか?

「約1年半前ぐらいに『木曜ドラマ枠で新しいドラマを作りたい』と黒岩さんと考えていて、当時はちょうどコロナ禍ではあったのですが、積極的にコロナをモチーフにしたものを作ろうという意識は正直なくて。打ち合わせの議題でも、(コロナウイルスの話が)出たことは一度もなかったです。ただ、ドラマって『なぜ今やるべきなのか』ということをみんなどこかで常に念頭に置いて作っていると思うので、今の時代の雰囲気が影響しているところは、もしかしたらあるのかもしれません」

――デスゲームのような展開が描かれていきますが、そういった要素もすぐに決まりましたか?

「そうですね。黒岩さんの脚本の魅力はたくさんあるのですが、その中の一つが“ライブ感”だと思うんです。ドラマって、基本的には大体冒頭15分でキャラクターや物語の舞台などを説明するボリュームが必要になるんですけど、黒岩さんの脚本は冒頭からライブでイベントが起きているのがすごく魅力的だと思っていて。おっしゃるように、今回は生き残りをかけた展開が現在進行形で展開していくデスゲームのような要素も多分に出ていると思います。企画の初手から『黒岩さんのそういった魅力を生かした形で作っていけるといいな』という思いは、チームとしても意識を持っていましたね」

――例えば、黒岩さんが手掛けた「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」もどんどん展開していくスピーディーさがありましたが、今回もそういったテンポ感は意識されたのでしょうか?

「非常にスピーディーに次から次に事件が起きていくところもそうですし、初回からかなり衝撃的な結末がラストで起こるので、ドラマをよくご覧になっている方も『え、この人が死ぬの!?』という、黒岩さんらしい驚きが隠されているのではないかと思います」

――主演の反町隆史さんは、テレビ朝日の木曜ドラマ枠の主演は初となります。“うだつの上がらない病理医”という役に、反町さんを起用した理由をあらためて教えてください。

「まず、『うだつの上がらない病理医を誰が演じるのが面白いのか』という話になった時に、黒岩さんが描く世界を作る上で、普段あまりそういうイメージがない人の方がワクワクするんじゃないかというやりとりがあって。あれだけいろいろな役をやってこられていますが、“うだつの上がらない病理医”って反町さんとは正反対のイメージだと思ったんです。そこが逆に面白くならないかと思って企画を提案したところ、反町さんサイドにも黒岩さんの世界観に魅力を感じていただき、『ぜひ!』とご快諾いただくことができました」

――髙野さんは「相棒」でも反町さんとご一緒されていましたが、髙野さんが思う反町さんの魅力を教えてください。

「お芝居も含めですが、本当に人間味が豊かな方なんです。僕らは『こういうキャラクターです』という設計図に則った組み立て方の説明しかできないのですが、そこに反町さんならではの人間味が投影されることで、想定していなかったキャラクターができるところが僕はすごいなと思っていて。例えば、子どもを相手にするお芝居で、何も説明がなくても子どもと目線を合わせられるようにスッと腰を下ろしたりする。その芝居だけで、子どもをいたわる心優しさとか、人によって接し方を変えない誠実さを感じることができる。台本のイメージを膨らませてすごく人間味豊かに演じていただけるところが、反町さんの魅力だなと思っています」

――撮影を重ねていく中で、反町さん演じる藤巻にはどんなことを感じていますか?

「反町さんファンの皆さんも見たことのない、また新たな魅力が出ているんじゃないかなと思っています。反町さん自身はスタイリッシュで華があって、度量も大きくて、というのがパブリックイメージとしてあると思うのですが、一方ですごく“ちゃめっ気たっぷり”なところもあって。『相棒』の現場でもよく差し入れをしてくださっていたのですが、『赤坂見附の高級焼き芋です。反町さんからいただきました!』と書かれている紙を見て、『さすが、高級な焼き芋は違うな!』とみんなが食べている陰で反町さんはニタニタと笑っていて。『実は近所で買ってきた焼き芋でした』みたいなこともありました(笑)。そういう人の心をちょっと温かくするようないたずら心というか、僕らと等身大の一面も持っていらっしゃる方なので、反町さんの内面にある人間的な温かみが、藤巻達臣というキャラクターにも反映される要素はあるんじゃないかなと。反町さんの新たな一面が『グレイトギフト』には出ているのではないかと思います」

――本作で藤巻という役を反町さんに託したことも、髙野さんにとっては納得のいく気持ちが強いですか?

「そこはとても強いですね。黒岩さんが打ち合わせで常日頃おっしゃっていることがあって、こういうドラマの世界観って、シリアスに作り込めば作り込むほどどこまでも行けてしまうのですが、その中で反町さんの演じるうだつの上がらない病理医・藤巻が持つ“変人ぶり”と言いますか(笑)。そこがちょっとコミカルで、スリルが連続するジェットコースター的な展開の中でホッとする部分にもなっていると思うので、併せて楽しんでいただけるのではないかと思っています」

――第1話では、物語の序盤でキーポイントとなってくる“天使のプリン”をめぐって、反町さんのちゃめっ気が見えるシーンもあるそうですね。

「大人気プリン争奪戦の行方がどうなるか?というシーンですね。シリアスな事件展開の中で入っているので、藤巻の個性が垣間見られるユーモラスな一幕として、視聴者の皆さまに楽しんでいただけるといいなと思っています」

――物語が進んでいく中で、波瑠さん演じる久留米穂希も藤巻の相棒として注目が集まるかと思いますが、波瑠さんの起用理由についても教えてください。

「テクニカルな話になるのですが、主人公が変人である場合って、大体相方のポジションは視聴者に近い立場で、比較的真っ当なことを言うキャラクターを置きがちだと思うんです。でも、あえてそういうセオリーを外して、一癖も二癖もある変人同士を組ませるところも黒岩さんならではだなと。“うだつの上がらない病理医”のイメージがつかない反町さんを起用するのと同じ意味で、知性的で凛とした品格を持った波瑠さんが演じる“変人の相棒”って、実はすごく魅力的なんじゃないかなと。本来のご本人のイメージとは正反対の役を演じるキャスティングが、この作品のポイントにもなっているんじゃないかと思いますね」

――確かに、藤巻や久留米と関わる他のキャラクターも、どこか尖っているところがあるような気もします。

「そうですね。そこも黒岩さんの手腕がなせる業だと思います。それぞれの登場人物が“信念”を持っているから、キャラクターが立っているんですよね。普通は完全懲悪で作ると『こっちが正義だったら、こっちが悪』と結構分かりやすくて、一方では行動が見えやすくなってしまうこともある。でもこの作品では、局面によって正義と悪が入れ替わったり、勝利と敗北が逆転したりする。“信念”を持った登場人物の生きざまがぶつかり合うからこそ生まれる予測不能な展開も、この作品のポイントになっているんじゃないかと思います」

――出演者には尾上松也さんや佐々木蔵之介さんをはじめ、明日海りおさん、津田健次郎さん、見取り図・盛山晋太郎さんと、これまでのテレビ朝日のドラマにはなかったキャスティングも注目ポイントになるのではないかと感じるのですが、こだわりはありましたか?

「黒岩さんが手掛けるオリジナルドラマの魅力を最大限に体現するために、僕ら自身もワクワクするようなオリジナリティーをキャスティングにも生かせたら、という点は意識しました。おかげさまでさまざまな縁に恵まれ、ドラマの主役を演じた方々をはじめ、舞台・アニメ・お笑い・伝統芸能など、各界の第一線で活躍する多彩な共演陣の皆さまに集まっていただくことができました」

――盛山さんは初の連続ドラマの現場でかなり緊張されていると伺いました。

「がっつり芝居があるドラマには今回が初出演、そして憧れの反町さんと初共演ということで、最初は本当に緊張されていましたね(笑)。撮影にも少しずつ慣れてきて、現場でスタッフとも和気あいあいとしゃべるようになっていたから『あ、だいぶ緊張もほぐれてきたんだな』と思っていたのですが、待機場所の椅子が反町さんと隣り合わせで、撮影の合間で反町さんが近づいてくると一気に無口になるという(笑)。反町さんのことが本当に大好きな方なんですよね。好きすぎて何もしゃべれなくなる(笑)。そんな盛山さんを見たのは初めてだったので、そこがすごく意外でチャーミングだなと思いました。反町さんも優しいから『休みの日とか何してるの?』と盛山さんに声をかけるんですけど、撮影序盤は一問一答みたいな感じになっていて。反町さんを見ている目が、もう恋人を見ている目に近いんです(笑)。この業界に入る前から反町さんの写真の切り抜きをして集めていたとおっしゃっていたので、心の底から愛しているんだと思います」

――先日行われた制作発表会見では、反町さんからも盛山さん演じる伊集院薫がキーパーソンになるとありましたが、“俳優・盛山晋太郎”というのは髙野さんにはどのように映っていますか?

「地が関西の方なので、標準語でしゃべることにかなりのハードルがあったと思うのですが、現場ではそういう違和感も全く感じさせません。レギュラーでドラマデビューということも感じさせないぐらい、本当に堂々としたお芝居をされています」

――本作は“ギフト”を巡る連続殺人というサスペンス要素と、病院内での権力争いという二つのベースがありますが、これらのバランスを保つ上でのこだわりは何かあるのでしょうか?

「縦軸は『権力争いを巡って起きる連続殺人事件』なので、そこに向けて『真犯人は誰か』という伏線をどう張っていくかは黒岩ワールドに全幅の信頼を置いてお任せしています。意見交換は随時しているのですが、黒岩さんが本当にけうな存在だと思うのは、プロデューサー以上にプロデューサー目線も持っていらっしゃること。僕らが言いそうなことを先回りして黒岩さんから言ってくださるんです。すご腕の船長と一緒に船を進めているような信頼感がありますね(笑)」

――第1話のラストも衝撃のクライマックスが待ち受けているとのことですが、そこにも“黒岩ワールド”が表れている…?

「黒岩さんは初手の段階から完成度がピカイチで、僕ら自身が予測不能なイベントが劇中で起きても、振り返るとそこに至るまでのさまざまな伏線が丁寧に埋め込まれている。ただ衝撃的なだけじゃなくて、そうなる必然性がある点も黒岩さんの脚本の大きな魅力の一つだと感じています」

――いよいよ放送がスタートします。見どころを最後に教えてください。

「毎回予測不能で、衝撃の結末が用意されているノンストップミステリーになっていると思うので、先の読めない展開にハラハラドキドキしてもらいながら、変人コンビの活躍にクスッとしていただいて、思う存分楽しんでいただけるとありがたいです! 本当に誰も見たことない面白い作品になっていると思います」

【プロフィール】

髙野渉(たかの しょう)
東京都出身。2002年テレビ朝日入社。主なプロデュース作品として「相棒」シリーズ、「トリック」シリーズ、「警部補 矢部謙三」、映画「ラストレシピ 麒麟の舌の記憶」など。

【番組情報】

木曜ドラマ「グレイトギフト」
1月18日スタート
テレビ朝日系
木曜 午後9:00〜9:54 ※初回は午後9:00〜10:00
※放送終了後、TVerで最新話を見逃し配信
※TELASAでは全話見逃し配信

取材・文/平川秋胡(テレビ朝日担当)

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