「継続支援」を訴え 茨城・神栖市職員安井さん 石川に派遣 能登半島地震

倒壊した家屋=石川県能登町(安井さん提供)

能登半島地震で、茨城県神栖市の防災安全課課長補佐、安井貴弘さん(47)が10~14日の5日間、被災地の石川県能登町に派遣された。現地では復興の第一歩となる罹災(りさい)証明書発行の受付業務を支援した。同町は断水が続いており、雪が降る寒さの中、2000人近くが避難所で暮らす。安井さんは復興への道のりの険しさを感じ、「継続的な支援が必要」と訴えている。

被災自治体ごとに支援自治体を割り当てる「対口(たいこう)支援」方式に基づく茨城県チーム第2班(20人)の一員として派遣された。

富山県高岡市のホテルを拠点に、片道約3時間かけて現地に向かい、連日午前9時から午後5時まで業務に取り組んだ。途中の道路は土砂崩れで片側がふさがれていたり、段差があったりして、迂回(うかい)を余儀なくされたことから、通常よりも移動に時間を要した。支援を後押しする大型車の走行もままならず、道路の損壊と雪による通行止めが、支援の遅れにつながっていると実感する日々を過ごした。

支援業務は、能登町柳田総合支所と本庁舎で行った。罹災証明書の受け付けの際、写真などで被害状況を確認。被害が少ない新しい住宅に比べ、古い住宅は軒並み被災しており、「今住んでいる建物の耐震性を知っておくことはとても大切だ」と呼びかけた。

このほか現地では、東日本大震災の際に、神栖市の全域で断水が解消するまで約2カ月かかった経験などを伝えてきた。

能登町は人口約1万5000人で、65歳以上の高齢化率は約50%。高齢者だけの世帯も多く、建て替えは厳しいと考える住民もいるため、大幅な人口減を心配する町職員もいたという。

地震発生から2週間が過ぎ、被災者だけでなく、町職員の疲労感も強まる。自ら被災しながら町役場で寝泊まりしながら奮闘する職員の姿も目の当たりにした。小規模な自治体のため、職員1人で複数の業務を担当しており、「明らかにマンパワーが足りていない状況。これから罹災証明書発行など業務は増えていく」と指摘。その上で「復興を加速させるためにも、多くの人による長期的な応援が欠かせない」と強調した。

土砂崩れによって片側が通行となっている現場=石川県能登町(安井さん提供)
安井貴弘さん

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