学生百人一首

 新型コロナの流行で学校から歌声が消えた。静岡の高3が詠んだ一首は、そうそう、1番はイケるけど2番は微妙だよね…と全国の共感を呼びそうだ。〈コロナ禍で校歌歌えず早三年/覚えられずに迎える卒業〉▲そんな教室に日常が戻ってきた。〈マスクなし顔見られても安心だ/家で秘密のにっこり特訓〉と千葉の高2は笑顔に磨きをかける。東京の中2は〈マスク取りわかったことが二つある空気の美味(おい)しさ君の凜々(りり)しさ〉と新発見の感動を▲二言目にはこう言うけれど…。〈多様性ほんとの意味を見失い皆が自分を許せないまま〉東京・中3。埼玉の高2は決然と〈まわりとはちがうことこそ価値がある百の雑音一人の自分〉▲「現代学生百人一首」(東洋大学主催)の今年の入選作が発表された。県内からも3首。佐世保市立日野中2年の冨田彩貴さんが詠んだのは友達の意外な一面か、ほのかな恋か。〈笑み浮かぶあなたの瞳優しくて/あわせてた目を少しそらした〉▲〈夏祭り色とりどりの花火たち/まるで母の弁当のよう〉は上五島高3年、尾上一笑さん。ランチタイムをカラフルに彩るお母さんの愛▲長崎女子高1年、峰春花さんは〈画面から助けを求める人々に何かすること無いのだろうか〉-若者たちの心を終わらない戦闘が締めつけ続ける。(智)

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