海の緊急ダイヤル「118番」99%が間違い・いたずら 「酒に酔った勢いで架電」海上保安庁が吐露する“トンデモ迷惑通報”

元“歌のおねえさん”の小野あつこさんが2024年の「118番イメージモデル」(提供:海上保安庁)

海で緊急事態に直面したら「118番」に電話をかける――。この対応がとっさにできる人は、それほど多くないかもしれない。

今日1月18日は「118番」の日だ。海での事件・事故に迅速対応するため、海上保安庁が2000年に緊急通報用電話番号として導入したものだが、四半期近くたった今も広く認知されているとは言えず、年間通報のうち間違い電話、いたずら電話などの「非有効架電」が約99%を占める状況だという。

もっとも多いのは「無言電話」

海上保安庁が12日に公表した資料によると、昨年の118番への通報件数は53万1814件で、そのうち約99%にあたる52万6740件が「非有効架電」だった。

非有効架電の内訳を見ると、無言電話が26万6886件ともっとも多く、次いで間違い電話が14万7365件、着信時の即断(いわゆる“ワン切り”)が9万6459件、いたずら電話が1万6030件となっている。

ちなみに、通報件数の“ほとんど”が非有効架電という状況は118番が導入された2000年から変わっておらず、毎年98〜99%台で推移している状況だ。

118番通報の年別有効・非有効架電件数(海上保安庁広報資料より)

118番、どんなときにかけるべき?

そもそも118番とは、本来どのような場面で活用されるべきものなのだろうか。海上保安庁の広報担当者は「通報してほしいシーン」として、以下4つをあげる。

  • 海難、人身事故に遭遇した、または目撃したとき
  • 密漁・密輸・密航事犯等の情報を得たとき
  • 油の排出等を発見したとき
  • 不審船、漂流・漂着木造船を発見したとき

海の近くで生活していない人も無関係ではなく、釣りやマリンスポーツなど海のレジャーを楽しんでいるとき、海岸を散歩しているときなど、こうした場面に遭遇する可能性はある。万が一のとき迅速に助けを求められるよう、118番の存在と活用方法について、しっかり心にとどめておくべきだろう。

「お酒に酔った勢い」で架電する人も…

冒頭で紹介したように全通報の約99%が「非有効架電」という事実に驚いた人も多いかもしれないが、彼らは何を思い「118番」を押したのだろうか。

「スマートフォンの画面を閉じておらず118番にかけてしまったというケースのほか、119番(消防)、110番(警察)、188番(消費者ホットライン)など、3桁の電話番号との間違いなどもあります。

また、子どもが親の携帯や公衆電話を利用して架電してしまった、お酒に酔った勢いで架電してしまった場合などもあります」(海上保安庁・広報担当者)

118番の認知については「海を仕事の場とする船員の方々や漁師の方々などには定着していると認識しております」とする一方、「普段、海を訪れない一般の方々については認知度が低い状況であり、間違い電話など非有効架電が多数であることも、認知度の低い状況が一因であると考えています」という。

海上保安庁では1月18日前後に、全国各地の海のほか市街地の商業施設などでも118番の認知度向上を図るための周知活動を実施。なお「118番」のイメージモデルは、昨年まで5年間務めた篠田麻里子さんに代わり、今年はNHKの番組で「歌のおねえさん」として親しまれた小野あつこさんが任命されている。

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