「へき地」のかかりつけ医は診療の幅が広い 地域医療に必要な能力把握へ 横浜市立大

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「へき地度」が高い地域のかかりつけ医ほど診療の幅が広いとする論文を、横浜市立大学大学院データサイエンス研究科の金子惇准教授らの研究チームが今月発表した。研究結果を活用すると、地域医療に従事する医師が必要な能力を備えているかを赴任前に把握できるという。

金子准教授は昨年、高度な医療を受けられる病院への距離などをもとに全国の「へき地度」を1~100で数値化する方法を開発。雪が多い北海道と東北・北陸地方の日本海側は高い傾向があると分析した。

今回の研究では、日本プライマリ・ケア連合学会会員のかかりつけ医を対象にウェブアンケートを実施して、勤務する病院や診療所で行っている診療の種類を聞いた。診療の幅を測定するために「傷の縫合」「終末期患者の家族に対する予測される経過の説明」など入院管理・救急対応・外来診療に関する68項目を「実施している・してない」で回答させた。これとは別の尺度として「新生児の診療」「手術室での手術」など22項目についても同様に聞いた。

回答者299人のアンケート結果と性別、医師経験年数、「へき地」診療経験や専門医資格の有無などをあわせて、68項目と22項目の質問をそれぞれ検証したところ、どちらも主な勤務地の「へき地」度が高い医師は診療の幅が広い傾向があることが分かった。

また68の項目について、最も都市部と最も「へき地度」が高い地域で80%以上の医師が行っている診療を比較したところ、外来診療の項目では差がなかったが、入院管理・救急対応の項目に関しては「へき地」ほど広い範囲の診療を行っていた。22の項目について同様に調べると、「へき地」の医師は都市部で行う診療に加えて「12歳以下の診療」「女性の健康問題への対応」「メンタルヘルス」なども実施していたという。

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