能登被災地、住民組織が力 派遣第1陣の青森県保健師チーム、支援活動振り返る

避難所の運営スタッフから情報収集する保健師チーム=8日、石川県穴水町(県提供)

 能登半島地震で被災した石川県穴水町に入り、避難者の健康管理に携わった青森県の保健師チームが17日、報道陣に現地での活動を語った。避難生活の様子について「石川県は自治組織のつながりが強く、支援活動がスムーズにできた」と、防災面での住民組織の重要さを振り返った。影響の長期化が見込まれる中で、住民の不安や疲労に対する支援の必要性も訴えた。

 県庁で取材に応じたのは、県の保健師チームの第1陣。保健師2人と県職員2人が、7~13日に活動した。穴水町の公的施設を拠点に、避難所や住宅を回って、住民の体調や衛生環境の確認、助言を行った。連絡が取れない人の安否確認にも関わった。穴水町に隣接する輪島市の「のと里山空港」で宿泊した。

 東地方保健所の保健師・中村菜穂子さん(38)は「集会所で、代表者の人が地区全体を取りまとめていた。自治組織の中に医療関係者がいて、率先してリーダーとして動いていた」と避難所の様子を語った。住民の協力で、支援活動もスムーズだったという。

 マスク着用、換気など、住民の感染症対策の意識は高かった。弘前保健所の保健師・安宍(あじし)美咲さん(29)は「どこの避難所に行っても、住民の皆さんが掃除をして、トイレをきれいに保っていた。感染症を広げないための対策の一歩になる」と話した。

 地震の発生から、半月が経過している。避難生活の長期化について、中村さんは「住民の不安が強くなり、メンタルの問題が現れてくる。自治体の職員にも少しずつ疲れの色が出てきていると思うので、外部からできる支援が必要」と指摘。安宍さんは「長期間の生活が難しい避難所もある中で、『住み慣れた地域から離れたくない』など、住む場所を変える決心がなかなかつかない住民の声も聞いた」と2次避難に関わる課題を挙げた。

 県の保健師チームは2月下旬まで、計10チームが派遣される予定。

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