講師多彩に からつ塾20年 歴史や自然科学、延べ6000人受講 唐津市

からつ塾を運営してきた(左から)大嶋仁さん、森川律子さん、小栁耕さん=唐津市役所

 大学がない唐津市に学びの場をつくろうと、地元の有志が運営している民間塾「からつ塾」が開講20周年を迎えた。歴史、自然科学など幅広い分野のエキスパートを招き、延べ6千人を超える受講者に「生きた学問」を提供してきた。

 からつ塾は大学教授、郷土史研究者らが発起人となって2004年1月に開講した。これまでにノーベル物理学賞を受賞した京都大名誉教授の故・益川敏英氏や、前京都大総長でゴリラ研究の第一人者山極寿一氏をはじめ、歴史、文化、自然科学、生物など全国から多分野の講師を迎えてきた。

 塾は年間7~11回のペースで開催している。コロナ禍で一時対面講義を休止したものの、22年4月に再開。157回にわたって大学レベルの教育を提供してきた。21年には講義概要をまとめた本を発行した。

 地元企業による協賛や助成、聴講者からの参加費で運営してきた。森川律子代表は「コロナ禍の後も待ってくださる受講者がいてくださった。応援してくださる方々の支援と、何よりも運営委員が熱意を持ってここまで引っ張ってくれた」と感謝する。

 一方、当初20数人いた運営委員は6人となり、受講者の年齢層も高まっている。森川代表は「これまでもできる範囲で続けてきた。背伸びをすることなく学びを提供していきたい」と話す。

 今年最初の講義は20日午後3時から、唐津市の唐津ビジネスカレッジで開催。からつ塾の発起人で福岡大名誉教授の大嶋仁氏(比較文学)が、ドイツ系ユダヤ人の物理学者ウォルター・エルサッサー(1904~91年)の生涯について解説する。参加費は千円(学生500円、中学生以下無料)。詳細はからつ塾のウェブサイトで確認できる。(松岡蒼大)

宇宙をテーマに講義する京都大大学院の佐々木貴教助教(当時)。からつ塾では歴史、文化、自然科学など幅広い分野の講師を迎えてきた=2017年、唐津市
からつ塾のウェブサイト

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