2024年1月13日、14日に行われた大学入学共通テストについて、大手予備校河合塾は1月18日、37万人を超える受験生の自己採点・志望校データ(共通テストリサーチ)から志望動向などを分析し発表した。東京大学や京都大学をはじめ、難関国公立大学の志望動向を紹介する。
■目次
国公立大学、難関10大学の志望動向まとめ
東京大学の志望動向
京都大学の志望動向
「やや難関大」の志望は控えめ?
平均点が前年並み…出願どうなる?
国公立大学、難関10大学の志望動向
河合塾によると国公立大の志望状況は前年比100%。受験人口が減っている中で前年並みを維持しており、堅調な人気を示している。難関10大学の志望状況は前年比99%、準難関大と地域拠点大学が101%、その他の大学は100%で、大きな差は見られなかった。文系・理系別でも差は見られなかった。
地域別で見ると、都市部の関東や東海、近畿は前年並み。一方で、北陸は前年比94%とやや減少した。金沢大学は前年比96%で極端な減少につながっていないが、富山大学などで減少が見られた。
難関10大学では東北大学、京都大学、神戸大学が人気で、東北大では多くの学部で出願予定者が増加。模試時に人気があった東京工業大学は減少傾向で、特に入学定員を増やした情報理工で減った。一橋大学では、新設2年目のソーシャル・データサイエンスが前年比65%で大幅に出願予定者を減らした。
系統別では農学系が前年比95%。東京大学の理科二類で出願予定者が大きく減ったことが要因とみられる。その他の大学の農学系はおおむね人気となっている。
東京大学の志望動向
東京大学の出願予定者は、前年比99%で前年並み。理科二類で出願予定者の減少が目立っており、昨年第1段階選抜ラインが8割と例年になく高かったことが警戒されている要因とみられる。出願予定者の得点分布をみると、文科一類、二類では、いずれも得点率9割前後の層がやや増加。理科二類では減少が顕著に出ているが、ボーダー以下の層のため予想難易度に大きな変化はないとみている。今後、理科一類、二類間での志望変更にも注意が必要だ。
⇒東京大学の予想ボーダーライン各学部学科一覧
京都大学の志望動向
京都大学の出願予定者数は前年比101%で前年並みで、法学部、総合人間学部、工学部、薬学部で増加した。得点分布をみると、法学部ではボーダーライン付近で出願予定者が増えており、厳しい競争が予想される。工学部では、国語、地理Bの平均点アップの影響が大きく出ており、得点が高い方にシフトした。
⇒京都大学の予想ボーダーライン各学部学科一覧
⇒一橋大学の予想ボーダーライン各学部学科一覧
⇒大阪大学の予想ボーダーライン各学部学科一覧
やや難関大の志望控える動き…出願段階で人気上昇の可能性も
受験人口が減ることに加え入学定員は増加し、競争緩和が進んでいる。また、新課程入試の前年に当たり、翌年の入試の変化を敬遠する動きがどこまで広がるか注目される。共通テストの平均点は前年並みだったことから、国公立大学の人気は堅調だが、現時点ではやや難関大学の志望を控える動きが見られている。平均点に大きな変化はなかったが、難関大受験の目安となる8割以上を得点した受験生は昨年より1割ほど増加しており、出願段階で難関大学の人気が上昇する可能性がある。
私立大学では難関大学を中心に志望者を増加。背景には国公立大学との併願者が手厚く共通テスト方式を利用しようとする動きが見られる。募集人員が増えたの情報系では出願予定者が前年並みのため、競争緩和が期待される。
⇒【私立大学】2024志望動向をチェック
平均点が前年並み…出願傾向どうなる?
共通テストの平均点が前年と変わらない年は、事前に検討した通りに出願する受験生が多くなり、模試時点の動向と同じ傾向になる。ただ、各得点率帯の受験生の増減にも注意が必要。今回は英語リーディングで高得点層が減っており、英語の配点が高い大学では敬遠される動きが出る可能性がある。
また、平均点に変化がないと、入試変更や過去の倍率が注目されやすい。入試変更では、科目負担が減った大学の出願者が増える傾向がある。また、前年志願者が大きく減少した大学では、今回は志願者の大幅増に注意が必要。福井大学の医学科前期では、2020年度の志願者が119%、2021年が74%、2022年が192%、2023年が56%と4年連続で増減を繰り返し、隔年現象を起こしている。
主な大学、福井県内の大学のボーダーライン
■国公立大学
⇒東京大学 ⇒一橋大学 ⇒京都大学 ⇒大阪大学 ⇒東北大学 ⇒神戸大学 ⇒北海道大学 ⇒名古屋大学 ⇒筑波大学 ⇒福井大学 ⇒福井県立大学 ⇒敦賀市立看護大学 ⇒金沢大学
■私立大学
⇒早稲田大学 ⇒青山学院大学 ⇒上智大学 ⇒明治大学 ⇒中央大学 ⇒法政大学 ⇒立教大学 ⇒関西大学 ⇒関西学院大学 ⇒同志社大学 ⇒立命館大学