静かで滑らか都市型SUV スバル「レイバック」をおじさんリポーターが試乗

レヴォーグをベースにした都市型SUV「レイバック」(和歌山県田辺市たきない町で)

 スバルの新型車「レイバック」は、2020年に日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したステーションワゴン「レヴォーグ」をベースにした都市型SUV(スポーツ用多目的車)。力強い1.8リットルターボエンジンを搭載しており、静かで滑らかな走りが持ち味だ。

■1.8リットルターボ搭載

 レヴォーグがエッジの効いたキリッとした顔つきをしているのに対して、レイバックは穏やかなデザインを採用。SUVの条件である最低地上高はレヴォーグより55ミリ高い200ミリ、車高は70ミリ高い1570ミリとしている。

 フロントシートは左右の支えがしっかりしたスポーツタイプだが、着座位置が高くなっているにもかかわらず乗り降りがしやすい。寒い季節にありがたいシートヒーターは運転席と助手席が3段階、後席は2段階の温度調節ができる。

 パワーユニットは、スバルの個性である1.8リットル水平対向4気筒ターボエンジン。最高出力177馬力、最大トルク30.6キロを発生する。このエンジンは低回転域からトルクが豊かで、アクセルの踏み加減に応じて滑らかに回る。初代レヴォーグに設定されていた1.6リットルターボエンジンに比べて、アクセルを踏んだ時の反応が早く、大排気量の自然吸気エンジンのような感覚で運転できる。最高出力275馬力を発生する2.4リットルターボ搭載車は設定されていない。

 グレードはリミテッドEX(399万3千円)のみ。本革シートやサンルーフといったメーカーオプションを除けば、安全装備や快適装備はフルに装着されている。

 スバルは自社生産のSUVとしてレガシィ・アウトバック、フォレスター、クロストレックをラインアップしており、今回レイバックが加わり計4車種になった。

■静かで滑らか

 1.8リットルの水平対向ターボエンジンはスムーズさが際立つ。低回転から大きなトルクを発生するので、上り坂でもほとんどアクセルを踏み増しする必要がないほど力がある。車内に侵入する騒音はよく抑えられており、乗り心地もソフト。これにより、SUVというより高級サルーンに乗っているような感覚になる。

 着座位置はレヴォーグよりやや高いが、ごく自然な運転姿勢を取ることができる。車体はレヴォーグより全長で15ミリ、全幅で25ミリ大きいが、視界がいいこともあって運転しやすい。

 運転席と助手席の間には11.6インチのセンターインフォメーションディスプレーがあり、ナビゲーションの設定や音響機器の操作、エアコンの温度調節、スマートフォンとの連携などをタッチパネルで操作する。

 実用面では、荷室の使い勝手がいい。開口部が広く、容量もカーゴフロアボード上部で492リットルあり、さらにボードの下には深さ290ミリ、容量69リットルのサブトランクがある。リアゲートは、キーを携帯してスバルのオーナメントに体の一部を近づけると自動で開くハンズフリーになっている。

■渋滞で手放し運転も

 スバル自慢の運転支援システム「アイサイト」は、二つのステレオカメラに加えて検知範囲の広い広角単眼カメラを採用。横断歩道のある交差点を右左折する際には、ドライバーの視界に入りにくい、自車と同じ方向に進む歩行者も認識して衝突を防止する。

 高速道路での車線維持機能は、車種によっては中央分離帯にかなり寄ったり、直進の維持が不安定だったりするが、レイバックはドライバーの感覚に沿った形で車線中央をしっかり維持してくれた。

 レイバックは高度運転支援システム「アイサイトX」も標準装備する。今回の試乗では体験することができなかったが、自動車専用道の渋滞時にステアリングから手を離しても車が自動で発進・停止をこなしてくれる機能や、方向指示器を操作するだけで追い越しのステアリング操作をしてくれる機能、料金所の通過に合わせて加減速をする機能などを備えている。

 個性的な水平対向エンジン、AWD(常時全輪駆動)による安定した走り、充実した安全装備がスバル車の持ち味だ。

 【試乗車提供】大阪スバル田辺店(田辺市中万呂867の2、0739.23.1740)

 リポーター 長瀬稚春=紀伊民報制作部長。運転免許歴48年

 【データ】全長×全幅×全高=4770×1820×1570ミリ▽ホイールベース=2670ミリ▽車重=1600キロ▽駆動方式=AWD(常時全輪駆動)▽エンジン=1795cc水平対向4気筒DOHCターボ、130kW(177馬力)/5200~5600回転、300Nm(30.6キロ)/1600~3600回転▽トランスミッション=リニアトロニック(自動無段変速機)▽燃料消費率=13.6キロ(WLTCモード)▽車両本体価格=399万3千円

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