[絶版バイクメンテ]定期的なケーブルメンテナンスで作動性向上〈1993 カワサキGPz900R Ninja〉

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高性能キャブレターの装着で満足してしまい、定期的な分解洗浄メンテナンスや周辺部品のメンテナンスを、おざなりにしてしまっているユーザーは意外と多い。高性能キャブでもノーマルキャブでも、ケーブル金具を分解したタイミングやセッティング調整の際には、スロットルケーブル(スロットルワイヤー)のメンテナンスを積極的に行おう。

●文/写真::モトメカニック編集部 ●外部リンク:ワイズギア

インナーワイヤー不備による“摺動抵抗増し”が実は多い…

カスタムされたカワサキGPz900R。オーナーからは「エンジンの回転落ちが悪くて…。キャブが調子悪いの!?」といった相談を以前に受けた際に、現状を確認した。確かにスロットルを戻したときに不安定になることがあったので、スロットルケーブルを外し、キャブ単体で強制的にスロットルバルブを作動させると、気持ち良く動き、戻りも悪くなかった。

次に、スロットルケーブルを外して点検すると、キャブ側の固定金具内側周辺でワイヤーの動きがどうも渋い。そこでワイヤーインジェクターを使用し、ケーブル内部の洗浄とグリスアップをおこなった。その後ワイヤーを復元し、エンジン始動。すると、何事もなかったかのように違和感もゼロ。

そんな事態に陥らないためにも、定期的な洗浄&グリスアップが極めて重要になるのが、スロットル操作系部品なのだ。

FCR+ハイスロットルの組み合わせが定番のカワサキニンジャ。この組み合わせ例のモデルは数多く存在する。しかしながら、どれほどのユーザーが、ケーブルコンディションに注目しているのか?

このタイプのケーブルインジェクターを世に広めたのは、1970年代のヤマハ。現在では様々なメーカーから発売されているが、取り扱い方次第で、いろいろなケーブルに対応することができる。

クラッチケーブルと比べて、アウター外径が細いスロットルケーブルには使いにくい。しかも金具エンドの場合はなおさら使いにくい。それでも外径を合わせて筒内噴射してみよう。

ケーブルを挟んだゴムシールの隙間からスプレーケミカルが漏れ出てしまうことがあるが、指先やウエス越しに押し付けて、溢れ出しを無理やり押さえながら筒内噴射しよう。

ケーブル潤滑の際には、最初にパーツクリーナーで内部の“汚れたグリス”を洗い流すのが重要。パーツクリーナーを筒内噴射したら、エアーガンでさらに内部をリフレッシュしよう。

ここで利用したのが、ワイズギア製スーパーワイヤーグリース。よったケーブルへの浸透性が高く、定評のケミカルだ。キャブ側の金具部分をインジェクターのラバーで押さえ込んで噴射。

念のため、エアーガンを利用してケミカルが行き渡るように促した。全力吹きではなく、エアーガンのトリガーを調整しながら吹き付ける。余分なケミカルの除去にもなる。

洗浄時はパーツクリーナー、潤滑時はやグリスやケミカルが、スロットルドラム側までしっかり届いていることを目視確認しよう。ウエスで押さえて作業し、周辺へは飛び散らないように!!

ケーブルアウターを指先で固定しつつ、インナーワイヤーを作動させよう。作業前と比べてスムーズに作動する様子が手に伝わってきた。軽いのが良いに決まっているのがスロットルの操作感だ。

スロットルケーブルで切れやすい部分と言えば、スロットル側もキャブ側も、タイコ周辺だろう。組み付け復元時には、このタイコ周辺にグリスを塗ってケア促進するように心がけよう。

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