冷え込み磨く麺のこし 手延べそうめん「揖保乃糸」、製造ピーク

絹糸のようなそうめん。従業員が長いはしを通し、均等にさばいていく=宍粟市山崎町岸田、橋本産業

 播磨の名産品、手延べそうめん「揖保乃糸」の製造が最盛期を迎えている。冬の厳しい冷え込みの中で熟成、乾燥させることで良質な麺に仕上がるといい、製麺所の従業員らが寒さをこらえながら一つ一つ丁寧に作業を進めている。

 播磨地域では江戸時代にそうめん作りが本格化。現在は県手延素麺協同組合(たつの市)に加盟するたつの市や姫路市など3市2町の業者約400軒が生産している。同組合の昨シーズンの年間生産量は計約1万9千トンで、全国トップシェアの約4割を占めた。

 伝統の味を守るため、揖保乃糸の製造工程や等級分けは統一されている。主力商品の「上級品」は直径0.7~0.9ミリで10月から翌4月に製造される。さらに細い「特級品」は12月からの3カ月間に限られる。 宍粟市山崎町岸田の橋本産業では、連日午前4時過ぎに作業を開始。麺生地を専用の干し台「はた」にかけ、約2メートルの長さまで延ばしてから、長いはしでより分け、乾燥させる。

 同社の橋本成生社長(64)は「最近の冷え込みで麺質が締まり、こしのあるそうめんになった。細い麺はのどごしが抜群で、麺つゆとの絡みも良い」とアピールした。(辰巳直之)

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