バイクの「二段停止線」2024年中に福井県内から消える すり抜け助長し危険、廃止は全国的な流れ

二段停止線の廃止工事。福井県警は今年中に全て廃止する予定=1月17日、福井県鯖江市鳥羽町の国道8号

 二輪の停止線を四輪の停止線より前にする「二段停止線」が福井県内から消える。オートバイの存在を分かりやすくし、トラックなどが左折する際の巻き込み事故を防止することが二段停止線の目的だったが、「バイクのすり抜けを助長し、むしろ危険を招く結果となった」と福井県警は判断。昨年8月に標示を消す工事を始めており、今年中に全て廃止する予定だ。

 道交法に基づく道路標識に関する命令の改正によって二段停止線を設置できるようになったのは1992年。90年代のバイクブームに伴い事故件数が増加したため、全国的に交通量が多い交差点で設置が進んだ。

 県内では、国道8号の片側2車線区間の交差点に整備されている。廃止工事が始まる前は、坂井市丸岡町玄女から越前市四郎丸町まで71カ所の交差点に設置されていた。

 本来は車列の先頭のバイクのみ二段停止線で停車できるが、県警はバイクの運転手に優先意識が生まれ、「後方のバイクが車の間をすり抜けて先頭に出る危険な行為を引き起こしかねない」と判断。実際に、バイクで通学する福井市の20代男子学生は「信号を待つ際などにすり抜けている」と取材に対し話した。

 道交法にすり抜けを取り締まる規定はないものの、状況によっては、通行区分違反や進路変更禁止違反に抵触する場合がある。転倒や衝突事故を誘発する恐れもあり、県警は二段停止線の廃止を決めた。

 事故を誘発する懸念に加え、バイクの保有台数が減少傾向にあることから、二段停止線の廃止は全国的な流れ。警察庁によると、東京都や北海道、神奈川県などでは既になくなり、2022年度末時点で設置されているのは23府県。全廃を決めている隣の石川県も08年ごろから工事を進め、22年度末時点で50カ所まで減らした。

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