アメリカ人女性ドライバーのクロエ・チェンバース、ハースを代表してF1アカデミーに参戦することが決定

 マネーグラム・ハースF1チームは、アメリカ人ドライバーのクロエ・チェンバースが同チームを代表し、2024年のF1アカデミーにカンポス・レーシングから参戦することを発表した。

 インディアナ州フォートウェイン出身で19歳のチェンバースは、2シーズン目を迎えるF1アカデミーに参戦するにあたってハースF1チームから支援を受けることになった。チェンバースは8歳でカートを始め、9年間にわたって複数の地域選手権や全国選手権で勝利を重ねてきた。2021年にはシングルシーターのレースに出る初めてのチャンスを掴み、アメリカF4選手権に参戦してミッドオハイオ・スポーツカーコースで初ポイントを獲得した。

 2022年は、チェンバースはWシリーズにチャンピオンのジェイミー・チャドウィックと組んで参戦した。シートを確保するため、チェンバースは2回のテストに招待された。1回目はアメリカのアリゾナで、2回目はスペインのバルセロナでテストが行われた。多くの候補者や、前シーズンから自動的に予選を通過したドライバーを相手にチェンバースは戦い抜き、ジェンナー・レーシングからレースに出ることが確定したのだった。

2022年Wシリーズ第2戦バルセロナ クロエ・チェンバース

 チェンバースはシングルシーターの経験を補うため、ポルシェ・ケイマンGT4クラブスポーツで競われる2023年ポルシェスプリントチャレンジノースアメリカに、ジュニアドライバーのひとりとして出場した。チェンバースは、ニュージーランドで開催された2023年カストロール・トヨタ・フォーミュラ・リージョナル・オセアニア選手権にも参戦し、初の女性ポールシッター兼優勝者となったことで、シリーズから“最も成長したドライバー”に贈られる賞も授与された。

 なおレーストラック以外では、チェンバースはスラローム走行最速タイムのギネス世界記録も保持している。2020年、当時16歳のチェンバースはポルシェ718スパイダーをドライブし、47.45秒の新記録を樹立したのだ。

 チェンバースは、ハースに選ばれたドライバーとして、特別なカラーリングのカスタムのレーシングスーツを身に着けてレースに臨むことになる。またコース上の活動をサポートするチーム担当者に会ったり、レースウイークにはエンジニアリングチームと定期的に接触したりできるほか、マーケティングコミュニケーション活動にも参加する。

 ハースを代表してF1アカデミーに参戦することが決まったチェンバースは、次のようにコメントした。

「カンポス・レーシングとともに、マネーグラム・ハースF1チームを代表してF1アカデミーでレースができることにとても興奮しています。ハースの支援を受けることで、新たな経験に通じる多くの扉が開かれ、そこで私は学ぶことができるでしょう」

「ハースの、そして私のホームレースのためにマイアミに行くことに興奮しています。私が楽しみにしているレースです。F1アカデミーでの最初のシーズンなので、いい結果を出してドライバーとして成長できることを楽しみにしています。冬の間、カンポス・レーシングと一緒にいくつかテストを行いましたが、チームと私はとてもよく協力して仕事をしています」

 ハースのチーム代表を務める小松礼雄氏は、「私自身、カートに熱中するふたりの子どもの父親として、次世代に対して飛躍し夢を追うよう促すことの重要性を理解しています」と述べた。

「クロエに会い、これからのシーズンに向けた彼女の熱意を知ることができてとてもよかったです。チームは彼女とファクトリーで知り合えたことを本当に喜びました。彼女はエンジニアと話したり、ピットストップ練習に参加したり、初めてのメディア対応を行ったりしました。マネーグラム・ハースF1チームは、F1とF1アカデミーの目標を全面的にサポートしており、我々のリソースを活用してスポーツに参入する少女や女性の人材プールを増やすことに尽力しています」

 2024年のF1アカデミーシリーズは全7戦が開催され、週末を通してふたつのレースが行われる予定だ。すべてF1と併催で、シーズンは3月7~9日のサウジアラビアGPで開幕する。

ハースF1の小松礼雄代表とクロエ・チェンバース

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