ウクライナから避難 クルコさんの絵に那覇市文化協会賞 「日本で評価してもらえてうれしい」

作品を前に喜びを語るクルコ・ユーリさん=18日、那覇市久茂地の那覇市民ギャラリー

 ウクライナから沖縄に避難して生活しているクルコ・ユーリさん(42)が描いた作品「RED IndIAN」が第16回なは市民芸術展の美術部門で最高賞に次ぐ那覇市文化協会賞を受賞した。18日に那覇市民ギャラリーで開かれた授賞式の後、クルコさんは「日本で作品を評価してもらえてうれしい」と喜びを語った。

 ウクライナの首都キーウで暮らしていたクルコさん。17年前に友人が運転する車に同乗して事故に遭って以来、車いすで生活している。車いすで自由に移動することが困難なため、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってすぐに隣国のポーランドに避難した。その後、日本人の知人の紹介で2022年12月に東京に渡り、2023年11月から那覇市で避難生活を送っている。寒いと足が痛くなるため、沖縄の温暖な気候が気に入っているという。

 10代の頃から絵を描くことが好きで、美術学校に通った経験もある。戦争の前は会社員として働きながら趣味で絵を描いてきた。最近はタブレットを使って絵を描くデジタルアートにも挑戦しているという。

 今回の受賞作品はウクライナで戦争が始まって以降、一時避難した南米のペルーで制作した。クルコさんは「戦争が始まり、ショックを受けた。何も考えず、自分の中から湧き出てくるものをそのまま描いた」という。

 紫色の画面に大きな瞳と赤色が特徴的な顔の隣に、釣り針で「何か」を釣り上げている様子を描いた抽象的な表現。「人はそれぞれ自分だけの内なる世界を持っている。何を釣り上げたかは絵を見た人それぞれが想像してほしい」と話している。

 クルコさんの作品は21日まで、那覇市久茂地の那覇市民ギャラリーに展示される。開館時間は午前10時から午後7時、最終日は午後5時まで。入場無料。(社会部・榧場勇太)

クルコ・ユーリさんの作品「RED IndIAN」
作品を前に喜びを語るクルコ・ユーリさん

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