こども園の送迎バス事故から1ヵ月 安全対策に立ちはだかる困難とは?

東広島市でこども園の送迎バスが逆走し、園児ら12人が負傷した事故は、発生から1か月になりました。多くのこども園が安全対策の見直しを図る一方、立ちはだかるのは、ドライバーの高齢化と人手不足です。

■さざなみの森 松井雄一郎 園長

「事故が起きたと…とにかく子供たちが無事でいてほしいという思いと自分の中に油断があったかなという思いが同時に押し寄せてきた」

■事故の被害者

「30メートル先の所から反対車線にいたバスが縁石を乗り上げて反対側の車線にいた乗用車にどんどんぶつかっていった。とにかくパニックになっていてとりあえず止まってぶつかった後に恐怖心がきた。」

■さざなみの森 松井雄一郎 園長

「運行委託先からの情報では(ドライバーは病院で)点滴を受けたが体温は平熱、血圧血糖共に正常という情報があるが、運転中に意識がもうろうとしている状態だった」

■さざなみの森 松井雄一郎 園長

「先日の弊園の園バス事故から1ヵ月が経って園内では職員全体に匿名のアンケートを取って今回の事故の状況、背景を洗い出し、検証を進めてきた。これまでにあと一歩で事故に繋がりそうな場面があったかこれについては22人の回答でYESが13、NOが9。急ハンドル急ブレーキ、信号認識の遅れやドアの開閉の確認が不十分な状態での発車など、事故に繋がる兆候のある運転は繰り返しあった」

「考えるべきことは車両管理と私たちの添乗員体制とどこまで安全を確保できるか全体像の構築をし直すことをまずやらないといけない」

■安全対策協議する松井園長

「車両についてはシートベルトは付けて運行することが前提になると思う。添乗員体制は今、現場とのやりとりどう思いますか?」

■さざなみの森 高田 憲治 教頭

「一人の添乗員が運行に関する責任を持ち、子供の方にはもう一人の添乗員が責任を持つ という体制が安心感ある」

■ちどり幼稚園 藤川要造 園長

「今日はバス訓練をやります」

「じゃあすみません、皆さんお集まりありがとうございます今日は皆さんも承知だと思いますが園バスの大変な運転士が気を失い事故が起きた。他人事ではなく本園でもいつそういう事故が起きてもおかしくない。そのためには訓練が非常に大事。それを想定した実践的の訓練をやって大切な子供の命を守るということをしていきたいよろしくおねがいします」

■訓練

「サイトウさん?サイトウさん! サイトウさん!皆両手で手すりをもって頭を隠して!」「サイトウさん大丈夫ですか?」「ハザード付けます!エンジン切ります!サイドブレーキ引きます!」「ちょっとそのまま座って待っててね」「紐しっかりつかんでゆっくり降りるよ」「幼稚園に電話します」「ちどり幼稚園です。状況はどんな感じですか?」「Aちゃんが唇から出血、Bくんが頭をぶつけてたんこぶができています」「救急車と警察の要請は?」「警察は要請していないのでお願いします」「わかりました。こちらで連絡取ります」

■ちどり幼稚園 藤川要造 園長

「ドライバーの管理業務は朝必ず健康観察とアルコールチェック、整備点検をうちのバスの運転手と派遣会社の運転手私の3人で毎朝必ずやっているそういう点では連携が取れている」

園児の命と安全をいかにして守るのか。それは幼稚園だけにとどまりません。送迎バスの運転を委託された会社には、ドライバーの適切な管理が求められています。

■新中央交通 松田泰典 総務部長

「中には70代も数名いる60代後半から半ばが一番多い。こちらは社員が出社して点呼業務を行う待合室。これがうちで使っているアルコールチェッカー。点呼業務出来る人が付いて本人が吹いてるかチェックする」

チェック試しタクシーのドライバーは、出社時に、必ず体調を報告していますが。

■新中央交通 松田泰典 総務部長

「幼稚園の送迎を業務にしている人は会社に出社することは、東広島近辺に住んでいる方なのであまりなく幼稚園に直接出社してバスの送迎をして帰る」

会社から離れた場所でバスに乗務するドライバーは、体調や1日の行動を記録した書類を、1か月分まとめて提出。会社は、ドライバーの体調を常に把握する体制ではありませんでした。

■新中央交通 松田泰典 総務部長

「現状でこうしましょうというのはてきていないのが事実。

Q.担当者が毎朝行ってチェックするのは?

「世間的には当然だろうというのは重々承知しているけど 会社として(遠隔地で)働いている人の所に毎日行って確認しろというのが正論かと思うけど(人手がいないので)それも現実的ではない気がする」

高齢化するドライバーと改善策の見えない管理方法。バスの運転を委託していた「こども園」は。

■さざなみの森 松井雄一郎 園長

「委託先から先日、代務者を出すとしても高齢になるということでこの間、私たちの連携の難しさ出来てこなかった反省も踏まえ管理がちゃんとしている会社地元でしっかり連携が取れる」

幼い命を預かるハンドル。事故から1か月、適切な安全管理の模索が続きます。

【2024年1月18日 放送】

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