蜂蜜せき止め成分特定 山田養蜂場 効果確認は初、成果を商品開発ヘ

 蜂蜜関連製品製造販売の山田養蜂場(岡山県鏡野町市場)は、蜂蜜に含まれるせき止め成分を特定した。蜂蜜は喉を潤す効果があるとして喉あめなどに用いられているが、せきを抑える効果そのものが確認されたのは初めてという。同社はさらに蜂蜜の機能の解明を進め、研究成果を商品開発にも生かしていく。

 同社の健康科学研究所と理化学研究所、東京理科大が共同研究で突き止め、昨年9月に米国の科学学術誌に発表した。

 研究では、モルモットにアカシア蜂蜜、水、鎮咳薬をそれぞれ胃に直接チューブで投与し、結果を比較した。蜂蜜と薬を与えた群は水に比べてせきの回数が大幅に減ったため、喉を潤すことなくせきを抑える作用があることが分かった。

 さらに分析を進め、2種類の鎮咳(ちんがい)成分を含むことが判明。一つは既に知られている「フラジン」という化合物だったが、もう1種類はフラジンに構造が似ているがこれまで確認されていなかった新規化合物で「メルピロール」と名付けた。

 フラジンとメルピロールは蜂蜜にごく微量含有。人間の体内にあるシグナル伝達物質の一酸化窒素を通じて作用し、せきを鎮めるという。化学合成したメルピロールとフラジンを用いて行った同様の実験では水に比べ、投与量によってはせきの回数が半分以下に減り、鎮咳薬に匹敵する効果があった。

 同社は「昔から蜂蜜はのどに良いと言われてきたが、科学的にもその効用が確認された。研究成果を、蜂蜜のさらなる流通や実用性のある新たな商品開発につなげていきたい」としている。

新たなせき止め成分の含有が確認された蜂蜜

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