【リニア】静岡・川勝知事が期成同盟会で『部分開業』主張へ 「2037年までに」発言は「2037年まで『なるべく早く解決』」の趣旨と説明

静岡・川勝平太知事(15日)
「私としては、出来る所からやっていくということ以外に、促進する方法はないと思っている」

川勝知事「部分開業」強調

地震会議欠席問題について注目が集まる中、川勝知事が15日の定例会見でも言及したのは、リニア新幹線についてです。JR東海は静岡工区の着工のめどがたたないことから、品川-名古屋間の開業を2027年から2027年“以降”に変更。
これに川勝知事は。

静岡・川勝平太知事(15日)
「2027年以降になったのが、静岡県のためだと言われておりますから。したがって、それ以外のところ、甲府から品川まで、また中津川から名古屋までは2027年までに開通させるというのは、少なくともJR東海の今回の発言が、変更の中に含有されていると、私は思っている」

これまで2027年の開業が難しくなったのは「静岡県のせい」とも言われてきたリニア問題。沿線の他の県では工事が進められているため、川勝知事は、2027年に開業予定だった品川~名古屋間のうち、静岡を挟んで品川~山梨、そして岐阜~名古屋を先に開業させればいいとして、改めて持論である“部分開業案”を主張しました。

川勝知事 期成同盟会で『部分開業』主張へ

静岡・川勝平太知事(15日)
「全線開通じゃなくても、2027年までに名古屋までの部分開通ができなくても、部分開通っていうのは、全線の中の一部が、開通することが「部分開通」であるから、従って甲府から東京までは、2027年できるということじゃないでしょうか。それから、また中津川から名古屋までは、これもできるということが含意されているので、ぜひこれは推進したいと思っている」

川勝知事はこうした“部分開業案”をリニアの沿線の都府県でつくる期成同盟会で主張する考えを示しました。そのうえで期成同盟会に対しても一度立ち止まるべきだと主張します。

静岡・川勝平太知事(15日)
「やっぱりこう一回、『下山をする』というと、ちょっとまた、言葉使いだけになるかもしれないが、そこのあたりを虚心坦懐に議論しなきゃいけない」

県外工区の進捗は

リニア新幹線の工事をめぐっては、静岡工区はまだ着工について議論が続いています。一方で、他の街は現在どのような状況なのでしょうか。

地上から深さ90m。これは神奈川県川崎市の地下を通るリニア新幹線のトンネルの内部です。15日、報道陣に公開されたこちらのトンネルでは、振動や騒音などの影響調査を終えた状態だといいます。リニア新幹線は都心部の地下40メートルより深い場所を通り、東京と愛知を結びます。JR東海はこの区間の複数の住宅街で、トンネルの掘削による影響がないか調査を続けていて、本格的なトンネル工事は、9月ごろから開始する予定です。

去年10月には、山梨県で本線トンネルが初めて貫通するなど、少しずつ工事は進んでいます。一方で今、静岡県で進んでいるのは工事ではなく議論です。

川勝知事「2037年までに解決すればいい」

静岡・川勝平太知事(4日)
「(リニア開業が)“2027年以降”となったので、南アルプスの自然、生態系を保全することとリニアの両立、この件についても2037年までに解決すればいいと私は受け止めている」

川勝知事は、南アルプスの環境保全の問題について、「2037年までに解決すればいい」との認識を示したのです。

川勝知事「1回下山した」

さらにリニア工事をめぐる今の進捗状況を山登りに例えて何合目か問われると…。

静岡・川勝平太知事(4日)
「いずれも前提にしているのは、2037年までには完成させようじゃないかということなので、1回下山したということではないか。登らないで下山したということではないか」

去年10月には「2合目に来ている」としていましたが、4日の会見では「1回下山した」と逆戻りしたという川勝知事。

元側近 難波静岡市長「全く理解できない」

これに苦言を呈したのが、元側近、静岡市の難波喬司市長です。

静岡市 難波喬司市長(12日)
「全く理解できない。結果的に10年延びるならいいが、初めから行政手続きに対する判断を下すのに10年先でもいいなんてことは、行政の責任ある者としてはあり得ない。行政は開業時期の問題と自分の手続きの問題を一緒にするのではなくて、手続きは手続きで速やかに実施をしていく。これが責任だと思う」

「全く理解できない」として川勝知事を切り捨てました。そのうえで、今の進捗状況については。

静岡市 難波喬司市長(12日)
「新たにものすごい詳細な調査をしないといけない状況ではないと思っているので、そういう観点から言って8合目までは行っている」

「下山した」と表現した理由は

川勝知事とは真逆の認識を示したのです。注目を集める「下山発言」について、15日の知事会見でも記者から質問が・・・。

静岡・川勝平太知事(15日)
Q.どういう真意で「1回下山した」とおっしゃった?

A.「2027年以降」と従来の方針をJR東海が変えられましたので、そして「静岡工区のせいでそうなった」と述べられておりますので、静岡工区の問題は、これは取水抑制、それから2回目の有識者会議における生態系への悪影響、それ以外にも、盛り土の問題があります。こうした事柄について、議論を聞いておりますと、工事を進めながらモニタリングしていけばいいと言うことになっている。しかし、工事をするには、工事ヤードがいるじゃないですか。工事ヤードは、どこにありますか? 西俣ですね。だいぶ前ですけれども、JR東海さん、資材の一部を運びこまれましたね。それが豪雨で全部流されて跡形もないでしょう今。その工事ヤードができてないので、工事をしながらモニタリングができないですよね。工事をするための、工事ヤードに行くための準備するべきことがあります。それはJR東海さんと、静岡市が結んだ、この三ツ峰落合線ができていない。これは三ツ峰落合線を通って、工事ヤードに資材等を運ぶという、そのためのトンネルでしょ? これが2018年6月に協定が結ばれてから、できてません。もう6年目になります。ですから、まずこれを6年間ほっておかれたことについて、JR東海と、新しい社長になりましたし、静岡も新しい市長になりましたので、これが6年遅れたことについて、どうするんだと。ですから、一番最初の一歩はですね、そこにまで「下山」をして、まず工事ヤードに行くための、三ツ峰落合線の整備、約束したとおり、なぜやらないのか、ここらへんのところ我々にも分かるように説明していただきたいと、突然そういう契約を結ばれたわけですから、そう思っていますが」

このように話し、「下山した」と表現した理由を明らかにしました。そのうえで、環境影響評価などについては、県としてもしっかりと議論をしていく姿勢を示しました。

「2037年までになるべく早く解決すればいい。これ以上でも以下でもない」

静岡・川勝平太知事(15日)
「こうしたもの(環境影響評価)は、可及的速やかにどんどんやらなきゃいけない。ただ、2027年というくびきはなくなったということだけは大きいと思っているので、短兵急に、もうやっつけ仕事で、もういいということは必要ない。きちっとやればいいと。それは別に遅くしろということではありません。しっかりとやればいいってこと。2037年までに、なるべく早く解決すればいいという、これ以上でも以下でもありません」

(1月16日放送)

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