水戸京成百貨店の元社長逮捕 雇調金不正受給、詐欺容疑で 休業日数を水増し 茨城県警【まとめ】

任意同行を求められ、捜査員と自宅を出る水戸京成百貨店元社長の斎藤貢容疑者=18日午前10時40分ごろ、千葉県柏市

茨城県警は18日、新型コロナウイルス対策の国の雇用調整助成金計約1億3300万円を不正受給したとして、詐欺の疑いで、水戸京成百貨店(同県水戸市泉町)の元社長、斎藤貢容疑者(66)=千葉県柏市豊町2丁目=を逮捕した。認否を明らかにしていない。同日、斎藤容疑者の自宅を家宅捜索した。

逮捕容疑は、社長として在職中、同社社員と共謀し、百貨店の従業員約400人について、2020年4~5月の休業日数を水増しした虚偽の申請書を、同8月に茨城労働局に提出。同9月と10月に雇調金を同社名義の口座に振り込ませてだまし取った疑い。

同社は昨年1月、当時の総務部長の指示で雇調金など計3億円余りを不正受給していたと発表。当時の部長は親会社の京成電鉄などの聞き取りに対し、当時社長の斎藤容疑者の指示だったと説明していた。

県警は昨年3月、同社と当時の部長宅を捜索し、帳簿や申請書類などを押収、従業員からも任意で事情を聞くなどして捜査を進めていた。県警は改めて当時の部長にも事情を聴き、全容解明を進める。

同社によると、20年4月から22年10月までの間、従業員の勤務データを改ざんして申請。改ざん日数は2年半で延べ2万3956日に及んだ。

同社は、コロナ禍で最初の緊急事態宣言が発令された20年4月から1カ月間、食品売り場を除いて全館を臨時休館とするなど、売り上げが落ち込んだ。臨時休館に伴い、同社は新たに特別休暇制度を導入し、この休暇を水増し。雇調金などは「営業外収益」として毎月計上していた。不正受給について、同社は過度な黒字確保の意識があったとしている。

厚生労働省職業安定局によると、不正受給に伴うコロナ助成金の返還額としては、昨年11月末現在で全国最高額。

同社は「元役員が逮捕されたことは極めて重大。ご迷惑をおかけし、おわびする。コンプライアンス体制強化に努め、信頼回復に取り組む」とコメントした。

■県警が家宅捜索

茨城県警は18日、斎藤容疑者宅を家宅捜索した。午前10時50分ごろには、捜査員が書類などの押収物が入った段ボール3箱を運び出し、別の車両に積み込んだ。

午後0時半ごろ、斎藤容疑者を乗せた車両が水戸市三の丸1丁目の水戸署に到着。報道陣が一斉にカメラのフラッシュをたく中、斎藤容疑者は後部座席で伏し目がちに座っていた。

斎藤貢容疑者宅から書類などの押収物を運び出す県警の捜査員ら=18日午前10時55分、千葉県柏市

© 株式会社茨城新聞社