「息子の死、無駄にしないで」 川崎の警備員感電死、遺族が県や会社と和解

「(解決金を)いくらもらっても息子は帰ってこない」と思いを口にする母親=川崎市役所

 旧神奈川県川崎合同庁舎(川崎市川崎区)の電気室で2018年に感電死した男性警備員=当時(30)=の母親(68)が、安全対策がずさんだったことが原因として、県などに約9千万円の損害賠償を求めた訴訟が、横浜地裁川崎支部で和解が成立した。16日付。責任を認めた県と勤め先の京浜警備保障(横浜市神奈川区)から、解決金として計3800万円が支払われる。

 訴状などによると、男性は18年1月23日未明、防犯信号が発せられた庁舎1階の電気室に行き、左手がむき出しの変圧器ヒューズに触れ感電死した。20年1月に母親が原告となり県と同社を提訴した。

 18日に川崎市役所で会見を開いた母親は、「なんで息子なんだろう。会いたくて会いたくて」と涙を拭った。「この気持ちは息子がいる天国に行くまで続くと思う。(県と同社に)安全対策を一番に考えて、息子の死を無駄にしないでほしい」と言葉を絞り出した。 

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