【日本人選手の新チーム紹介~タンパベイ・レイズ~】リーグ屈指の激戦区で名門球団と渡り合う異端軍団

北海道日本ハムでの9年間で2度の2ケタ勝利を挙げ、過去3年連続で150イニング以上、昨季はリーグ最多の170イニングを達成した上沢直之がポスティング制度によるメジャー挑戦を目指し、レイズとのマイナー契約を選択した。

2018年に行われた日米野球で侍ジャパンのメンバーに選ばれた上沢直之。第2戦に先発すると、メジャーの猛者たちを相手に5回6安打1失点7奪三振と好投し、勝利投手となった。その上沢がメジャー挑戦を発表した。

そして、交渉期限の1月12日を過ぎた時点で上沢の獲得を公式X(旧Twitter)で伝えたのがレイズだった。

Welcome to the Rays family, @naoyukiuwasawa

The Tampa Bay Rays have signed RHP Naoyuki Uwasawa to a minor league contract with an invite to Major League camp.#RaysUp pic.twitter.com/UVBH9yY8j7

— Tampa Bay Rays (@RaysBaseball) January 12, 2024

発表された内容はマイナー契約。その後、レイズはマイナー契約選手としては異例となる上沢のコメントを発表した。「レイズでプレーすることを決めたのは、球団が投手育成に関して素晴らしい成功を収めてきたことに魅力を感じたから」と語った上沢だが、ほかの複数球団からのメジャー契約のオファーを断り、レイズを選択したことも明かされた。

レイズはメジャーでも最激戦区であるア・リーグ東地区に所属し、ヤンキース、レッドソックス、オリオールズといった強豪球団と互角の戦いを繰り広げている。資金が乏しいなか2019年から5年連続でポストシーズン(PS)進出を決めている異端のチームでもある。その原動力となっているのが上沢も語った「育成力」で、スター選手がいなくても常勝チームへと登り詰めている。

昨季は開幕からメジャー歴代タイ記録の13連勝を挙げるなど、安定したシーズンを送り、ワイルドカードでのPS進出を決めたが、前半戦で11勝を挙げたエース左腕のシェーン・マクラナハンが8月にトミー・ジョン手術を受けて途中離脱。オフには10勝を挙げたタイラー・グラスノーがドジャースへ移籍したことで、このオフは先発投手陣の補強が急務となっている。

現時点では、昨季リーグ最多タイの16勝を挙げたザック・エフリン以外はシーズンを通してローテーションを守った実績のある投手はいない。トミー・ジョン手術からの復帰が近いシェーン・バズ、後半戦にはドリュー・ラスムッセンやジェフリー・スプリングスの復帰も見込めるが、現在の台所事情は厳しく、上沢にもメジャー昇格のチャンスは十分にある。

また、2019年と20年にブルージェイズで27試合に登板し、2022年と23年にはオリックスの2年連続リーグ優勝に貢献したジェイコブ・ワゲスパックもマイナー契約を結んでおり、上沢とメジャー昇格を争うことになる。

昨季、リーグ4位の本塁打(230本)、2位の打率(.260)と得点(860点)を記録した攻撃陣は健在で、31本塁打のアイザック・パレイデスをはじめ、25本塁打のホセ・シリ、23本塁打のランディ・アロザレーナなど、20本塁打以上を記録した選手が6人も揃っている。

6年連続のPS進出に向けて戦力を強化中のレイズ。キャンプでメジャー昇格が試される上沢だが、吉報は早く届くかもしれない。メジャー契約ではなく、あえてマイナー契約という茨の道を選んだ上沢の本当の挑戦がまもなく始まる。

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