〈1.1大震災〉待ちわびた水に「ほっ」 氷見全域通水、最後の2地区

蛇口から出た水に触れ、笑顔を見せる住民=氷見市中波

  ●さっそく食器洗い、入浴
  ●「完全復旧までもう少し」

 「ようやく水が使える」「待ちわびた」。大規模な断水が発生していた氷見市で全域の通水が復活した18日、最後に水が通った中波、脇の2地区の住民は久しぶりに蛇口から流れた水にほっとした表情を見せた。水は濁っており、まだ飲み水には使えないものの、さっそく食器を洗ったり、入浴したりする人もおり「完全復旧までもう少し」と期待が高まっている。

 「水、出るようになったらしいよ」「ほんまけ」。中波地区では17日昼ごろから、水が出たという報告が住民から住民へ駆け巡った。各世帯で順次、流れるようになり、18日朝に全域で通水した。

 知り合いから聞いた田村外喜美さん(81)は17日夕に水が出るのを確認。最初は茶色く濁っていたというが「うれしくて声が出た。だってずっと待っとったんやもん」と笑顔を見せた。

 田村さんは一人暮らしで車もない。断水中は高岡市に住む子ども2人がポリタンクに入れた水やペットボトルを運んでくれた。トイレはくみ水で流し、風呂は3日に1回、子どもや知り合いの家で入らせてもらった。まだ飲み水には使えないが、「こんなに待ったんやから、あと1日2日くらい大丈夫。もうちょっと我慢するわ」と明るい声で話した。

 鮮魚店を営む山口忍さん(73)は水が出た瞬間を振り返り「うち中みんな喜んで大喝采やった」と声を弾ませた。

 店は氷見魚市場が再開した5日から営業しているが、断水中はひしゃくですくった水をかけながら魚をさばいていた。魚の処理に使う水を確保するため、近くの井戸や給水所へ約200リットル分の水をくみに行く日々を続けている。

 通った水はトイレや風呂に使い、魚の処理に使うのは完全復旧後とした上で「水が出るってありがたいことやね」としみじみ話した。

 今年初めて自宅の湯船につかろうと浴槽に湯を張ったのは脇地区に住む北嶋孝三さん(76)だ。「少し濁っとるけど大丈夫やろう。我慢できんわ」と湯加減を確かめながらうれしそうに話した。当面は入浴の頻度を減らし、風呂の残り湯を洗濯に使うなど引き続き節水に心掛ける。

 中波自治会の田中千弘会長(71)は住民が交代で給水所に詰めてポリタンクの運搬などを手伝っていたとし「住民同士で助け合い、断水を乗り越えられた。大変やったけど結束は深まった」と話した。

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