神奈川県警押収の犬猫行方不明 「杜撰な管理、ひどい」返還と損害賠償600万円求め提訴へ

動物保護団体「レスキュードアニマルネットワーク」のシェルター=藤沢市石川

 動物虐待の疑いがあるとして神奈川県警が動物愛護団体から押収した犬と猫114匹のうち約80匹の行方が分からなくなっている問題で、この団体が県に犬猫の返還と損害賠償を求めて19日にも提訴することが18日、分かった。団体代表の男性は「警察は犬や猫の居場所も安否も説明しない。あまりに対応がひどい。裁判で明らかにしたい」と憤っている。 

 県を訴えるのは、動物愛護団体「レスキュードアニマルネットワーク」(横浜市神奈川区)。藤沢市内のシェルターで犬や猫の保護活動を行っている。

 同団体で動物虐待が行われているという告発を受け、県警は動物愛護法違反(虐待)の疑いで2021年9月、同市内のシェルターを家宅捜索して犬と猫計107匹を押収。22年には7匹を追加で押収した。

 藤沢北署によると、押収した犬猫は告発者と関係のある動物愛護団体に「管理委託契約」を結んだ上で預けたが、その後、この団体が分裂。大半が持ち去られ、約80匹の行方がいまも分からないままだという。

 男性は「警察は押収物の管理や返還義務を負っているのに、全く果たしていない」と主張。600万円の損害賠償と押収した犬、猫の返還を求める方針で、県警から押収物の管理委託を受けた人物に対しても、別の民事訴訟で返還を求めていく考えという。男性の代理人弁護士は「県警にこれまで再三にわたり返還を求めてきたが全く応じていない。説明もあいまいで杜撰(ずさん)と言うほかない」と話す。 

© 株式会社神奈川新聞社