糖尿病の持病を見落とし患者死亡 神戸徳洲会病院に市が改善命令へ 医療法で兵庫県内初

神戸徳洲会病院=神戸市垂水区上高丸1

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で昨年9月、入院していた糖尿病の70代男性が適切な治療を受けられず死亡したとされる問題で、神戸市は1月中にも、医療法に基づく改善命令を同病院に出す方針を固めた。同法による改善命令は異例で、兵庫県内では初めて。

■カテーテル治療や検査後、複数の患者死亡も

 同病院では昨年6月、カテーテル治療や検査後などに複数の患者が死亡していたことが発覚。市は行政指導を行ったが、その後の調査で糖尿病患者への不適切な対応が判明し、行政処分にあたる改善命令が必要と判断した。病院側に安全管理の改善計画書の提出を求め、従わなければ業務停止などの罰則の対象となる。

 市などによると、70代の男性患者は糖尿病の治療で同病院に通院。新型コロナウイルスに感染し入院したが、肺炎が重症化し昨年8月に大学病院に転院した。症状が落ち着き、神戸徳洲会病院に再入院したが、10日後に死亡した。

 主治医は外科医の新保雅也院長で、電子カルテに記載された持病を見落とし、インスリン投与などをしていなかった。男性が亡くなる直前に糖尿病に気付いたが、遺族には死因を肺炎と説明。11月に始まった市の立ち入り調査後、血糖値のコントロールができなかったことが死因の可能性があると説明し直したという。

 院内の医療安全対策委員会で医療事故かどうか調査したが、結論を出さなかった。市は一連の対応が著しく不適切だったとみている。

 一方、複数の関係者によると、神戸市は、別の外科医が担当した患者が昨秋に死亡した事例でも、院内の検証が不十分だった疑いがあるとみて調査しているという。(金 旻革)

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