－いつ韓国へ行ってきたんですか。
桑名美保さん 12月15日から19日までの４泊５日です。４泊とも宿泊はソウルで、１日だけ小旅行でスウォン（水原）に行きました。韓国にはコロナ後にイベント目的で２回行っています。でも、完全に観光目的で韓国に行ったのはコロナ以降では初めてです。
－イベントとか完全に観光とか、どういう意味ですか。
桑名さん イベントは「推し活」ですね。2022年11月に「SF９（エスエフナイン）」のコンサートを見に行きました。4日間の滞在中、２日間コンサートに行きました。あとは他の推しグループのメンバーの舞台を見たりしました。舞台は30人くらいの小さな会場ですから、ステージが近くて良かったです。２回目は2023年６月にSUPERNOVA（超新星）のゴニルさんのファンミーティングで行きました。K-POPアイドルや俳優さんのファンミーティングツアーは、コロナ前からいろんな旅行会社が企画しています。ライブを見たり、握手会で触れ合ったりします。ファンミーティングと言っても規模は参加者が数十人から大規模なものは1000人以上まで様々です。推しグループのメンバー１人だけのファンミーティングもあります。参加者が少ないイベントは推しアイドルとの距離が近いのが魅力です。今回の旅行も含めて、推しつながりの同じ女性５人での旅行です。
－ＳＦ9もSUPERNOVA（超新星）も知らないんですが、K-POPアイドルですよね。
桑名さん そうです。2011年にK-POPファンになりました。
－はっきりと、いつからかを覚えているんですね。なにがありましたか。
桑名さん 知り合いに誘われて「超新星」のコンサートを見てはまりました。こんなきれいな人たちが世の中にいるのかと、一瞬でハマってしまいました。今はSF９も推しです。
－何年か前に「少女時代」のジニーをユーチューブで見て、脚と脚の振り付けにやられたから、少し気持ちは分かります。でも、そのままK-POPのファンにはなりませんでした。ところで推しつながりのみなさんは、東京ですか。
桑名さん SUPERNOVA（超新星）の推し活で知り合った４人で、東京周辺が３人と大阪が１人です。同じ東京でも、それぞれの仕事の都合もあるので、韓国旅行はいつもソウル集合です。
「推し活」は海も円安も越えて行く
－今回の旅行で円安は気になりましたか。
桑名さん イベント目的のときは、動機が円安をはるかに上回ります。今回は観光目的でしたけど、行きはアシアナ航空、帰りはJALのマイレージを利用して、燃油代も含めて往復で38000円でした。私は近さ重視で東京は羽田空港、ソウルは中心街に近い金浦空港を選びます。ホテルは半年前の予約で１泊ひとり6300円でした。ただ、出発前に料金を見たら１泊１万円に上がっていました。
―今回はイベントではなく、観光目的ということで、どんな風に過ごしてきたんですか。
ヨンボカルビでカルビ定食
桑名さん おいしいものをたくさん食べてきました。ちょうど寒波が来て、滞在中ソウルはマイナスの気温でした。寒さが厳しいと辛い鍋料理が一層おいしく感じます。地元の人が食べに行く食堂の雰囲気も食事をおいしくします。ソウルから日帰り旅行で行ったスウォンのカルビ定食は小皿に乗ったおかずがたくさんついてきて、3000円くらいでした。ソウルでの夕食は飲食店が混む前に早めに行って、早めに食べ終わるとホテルの部屋に戻ります。それから「部屋ミーティング」と称して、お菓子と飲み会です。メンバーの２人はお酒は飲まないけれど、推しつながりですから話はつきません。
韓国料理の数々
－食については事前にけっこう調べますか。
桑名さん 食べる店については同行者にユーチューブを見て研究している女性がいて、旅行前に候補を列挙してくれて共有します。食事は人数が多い方がいいですよ。シェアできるから、いろいろな種類が食べられます。会計に強い人もいて、外国人専用のプリペイド決済カード「ワオパス」に日本円で１人１万円ずつチャージして、その人がまとめて払います。残ったら次の韓国旅行に持ち越しです。困った時の仕切り役もいます。ソウル２日目の夜、私が飲食店に荷物を忘れたのに気づいた時も連携して、取りに戻るチームと、そのままホテルに戻って待機するチームに分けるとか、対処法を指示してくれました。「韓流アジュンマ（＝韓国語で年配の女性を意味します）」は侮れませんよ。言葉も分かるし、しっかりしている人が多くて、リラックスして旅行が楽しめる。これが普通の友人との旅行だと旅行会社勤務の経験から頼られてしまうんですよね。
スウォンまで日帰り旅行、私も親切にしています
－食べるほかに、昼は何をして過ごすんですか。
三清洞ブティック
桑名さん 街歩きをしたり、洋服を買ったり。若い人にはコスメが人気ですが、私たち「韓流アジュンマ」は洋服を買うのが好きです。旅行にはあまり服を持っていかないで、現地調達です。みんなで一緒に服選びをします。親身に選んでくれるから頼れます。ミョンドン（明洞）にノースフェイスの旗艦店があるんですが、韓国のデザインはタウン寄りで、かわいいデザインが多いんです。12月はＪＣＢだと10％割引な上、免税価格で買えました。お得にいいものが買えるから、今回は５人中３人がコートを買いました。
－スウォンへの日帰り旅行はどんな感じでした。
桑名さん 2017年に韓国でお世話になった人にスウォンまで来てもらい、一緒に観光しました。スウォンから車で１時間半ほどのテジョン（大田）の人です。その当時、推しが入隊中で、テジョン近くのケリョンデで開かれた地上軍フェスティバルに出演したのを見に行ったんです。そのときホテルに帰るバス停を探していたら、声を掛けてくれ車で送ってくれました。韓国の人はとても優しいです。特に地方の人は。困っている人を見ると放っておけないんだと思います。街中できょろきょろしていると必ず助けてくれます。言葉が通じるかどうかは気にしない。だから、私も日本では外国人に親切にしていますよ。外国人旅行者がたくさん街を歩いていますけど、困っている人には声をかけたいと思っています。
テジョンから来てくれた友人とスウォンで
－去年、初めての韓国旅行で釜山に行ったとき、海岸で知り合った女性にカフェラテをテイクアウトで御馳走になったり、キョンジュ（慶州）の古墳エリアでは、親子連れが長い時間足をとめて、スマホで調べて道を探してくれました。ところで次の旅行も韓国ですか。
桑名さん 基本は韓国ですね。次は釜山に行こうかと話しています。ゴールデンウィーク明けかな。それから東南アジアですね。タイもドラマで盛り上がっているじゃないですか。K-POPや韓国ドラマもそうですが、コンテンツの力はすごいですよね。その国に関心が湧いて、言葉を学びたくなったり行きたくなったりしますから。
「今の円安」にからめとられない、大昔、1ドルは360円と決まっていたんだ
海外旅行の回復が遅れている。コロナ前の2019年の海外旅行者が約2000万人だったのに対し、2023年は半数に及ばない962万人と1000万人を下回った。年間の訪日外国人旅行者数が2500万人を超えたのとは対照的だ。海外旅行者が伸びない最も大きな要因としては１ドル140円台程度の円安が言われ、旅行業界も円安だから仕方ないとの諦めムードも漂う。ただ、どうなんだろう。1964年に日本で海外旅行が自由化されて以降、子供時代１ドルは360円と決まっていたし、知りませんでしたか。初めての海外旅行でグアムに行った1985年前半は１ドルが250円程度で、やはりすごい円安だった。それでもお金を貯めて海外旅行に出かけたものだ。「今の円安」のさなかに海外旅行に行った人に話しを聞いていく。
