アワビ単価、過去5年で最低 2023年度岩手県漁連共販実績

県産アワビは処理水放出の影響で平均単価が大幅に下落した=宮古市重茂

 岩手県漁連は2023年度(11~12月)のアワビの共販実績をまとめた。水揚げ数量は101トン(前年度比9.1%減)、10キロ当たりの平均単価は8万8547円(同35.3%減)とそれぞれダウンした。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に伴う中国の禁輸措置が影響し、平均単価は過去5年で最低。漁業者からは東電に補償を求める声が上がっている。

 水揚げ数量は2年連続で100トンを上回ったが、東日本大震災前の3カ年(08~10年度)平均に比べると29.4%。県漁連によると餌となる海藻がなくなる磯焼けの影響で、痩せた個体が目立った。12月以降は、しけのため、口開け(出漁)の回数を予定通りできた地区はほぼなかった。

 平均単価は、水揚げ量が81~140トンに落ち込んだ18年度以降、10万円台で推移してきたが、急落した。県産のおよそ7割は干しアワビに加工されて香港に輸出されているが、香港から中国への流通が停滞し、今後も不透明のため取引価格に影響した。

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