意識不明…首にロープが絡まった男児 園児ら遊ぶ保育園の山、土木用のロープをくいにかけた保育士…16分後、異変に気付く 状況の詳細判明、じつはロープ遊びが禁止されていた その後、男児は意識戻る

保育園事故「危険性の認識不足」 検証委が報告書=久喜市

 埼玉県久喜市の認可保育園「なずなの森保育園」で2023年5月、当時3歳の男児の首にロープが絡まり一時意識不明の重体になった事故で、市の検証委員会は18日、「保育士が園児を見守る際の連携が不足していた」とする報告書を発表した。

 報告書などによると、事故は昨年5月2日午前10時ごろ、児童たちが園内の築山周辺でロープを引っ張って遊び、保育士はけがをしないようロープをくいにかけて離れたが、16分後に倒れている男児を発見した。

 市は昨年8月に検証委を設置し、専門家5人が調査。報告書は、土木用のロープを使用する危険性について認識が不足していた▽ロープで遊ぶことを禁止する内容が保育士に周知されていなかった▽築山から離れる際に保育士同士の声がけがなかった―などの問題点を指摘した。ロープが巻き付いた経緯は特定できなかった。

 委員長を務めた増田まゆみ東京家政大学元教授は会見で「組織としての取り組みが十分ではなかった。子どもの命を確保した上で、主体性を重視することが大切」と述べた。

 答申を受けた梅田修一市長は「事故の再発防止に向けた取り組みを推進したい」、同園の奈良浩二理事長は「報告書を精査し再発防止に向け努力したい」とコメントした。

 園児は意識が回復し退院。現在は通院して加療を続けている。県警は今月4日、業務上過失傷害の疑いで園長、保育士らを書類送検した。

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