気候変動で北海道の農産物が変わる?

今回のけいナビの特集は、気候変動で変わる北海道の農産物がテーマ。北大大学院の平本健太教授と、中村秋季乃アナウンサーがその真相を確かめようと、人気の青果店、深澤青果を訪れた。

深澤青果は2016年の創業で、札幌を中心に7店を展開する。2人が訪れたのは白石区にある本郷市場店。深沢栄治社長から話を聞いた。

深沢社長は、気候変動で北海道で取れる野菜が変わってきているかとの問いに「まだ大きな変化はない」と話した。一方で「これまであまり目にしなかったものが増えてきた」とし、一例としてシャインマスカットを挙げた。

そのシャインマスカット、これまでの北限は余市町だったのだが、最近になり旭川でも栽培する動きが出てきた。JAあさひかわと旭川市農業センター、一部の農家を中心とした動きだ。

その背景にあるのは温暖化。気温が高くなってきているので、これまでは取れなかった野菜や果物も作ることができるのでは、というアイデアが発端だ。旭川市農業センターなどは木にむしろ巻いてその上に雪をかぶせることで凍害を防ぐ方法を考え、今季は24房の栽培に成功、今後本格的な栽培を目指すとしている。取り組みに参加する農家は「温暖化でコメの品質低下が懸念される。高収益なシャインマスカットに期待している」と話す。

最近道内で取れるようになってきている野菜、それはサツマイモだ。去年の生産量は前年の約2倍となった。道内各地で栽培の動きが広がっている農作物のひとつだ。

新篠津村にある大塚ファームは、加工用のサツマイモ作りをこれまで進めてきたが、生食用の栽培に力を入れ始めている。道外の主要産地の生産量が猛暑や病害の影響で低下していることを受け、小売店の担当者やバイヤーからの引き合いが強まっているためだ。

一方、コメと同様に影響が心配されるのが、和寒町特産の越冬キャベツ。冬の間雪の中で貯蔵することで甘みが増すのが特徴だが、その品質の維持が難しくなってきているという。

JA北ひびき和寒キャベツ部会の船本裕一部会長は「栽培が年々難しくなってきている」とし、今後への影響を懸念する。農研機構北海道農業研究センターの石郷岡康史さんは、温度が高い状態は今後も続く可能性があるとし、「環境の変化に対応できる農産物を選択することも必要」と指摘する。

北海道も猛暑続きではあるが、道外に比べるとまだ冷涼であるのが実情。平本教授は「道外から農業生産法人を誘致するといった、そのような取り組みがこれから増えてくるのではないか」と説明した。

(2024年1月20日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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