能登被災地「医療機関が機能破綻」 派遣の日赤青森県支部が報告

石川県珠洲市の避難所で被災者(左)の健康状態を確認する日赤県支部救護班第1班のメンバー=8日(八戸赤十字病院提供)
活動状況などを説明する(右から)小笠原医師、紺野院長、藤澤医師ら

 能登半島地震で被災した石川県で医療支援を行った日本赤十字社県支部の救護班第1、2班の代表者が18日、青森県八戸市の八戸赤十字病院(紺野広院長)で報道機関に活動内容を報告した。第1班班長の藤澤健太郎医師は「珠洲市の総合病院に患者が集中、医療機関の機能が破綻している」、第2班班長の小笠原英治医師は「糖尿病や血圧の薬が切れた。何とかならないか」などの避難所の声を紹介し、慢性疾患患者の対応が課題-との認識を示した。

 第1班は7~11日、珠洲市の避難所を巡回し、被災者のケアに従事。活動拠点本部で情報収集も行った。藤澤医師は「被災者は笑顔で応じてくださったが、話を聞くと、体調や自宅、家族、今後のことなどに不安を募らせていた」と振り返った。副班長の佐藤千雪看護師は「顔の見える関係の人同士支え合っていた。体調の悪い人を教えてもらい、私たちが話を聞きに行った」、山野内博見・日赤県支部事業推進課長は「食べ物などを持ち寄り譲り合っていた」と報告し、「共助」の大切さを強調した。

 14日に出発し能登町で活動、18日に戻ったばかりの小笠原医師は「硬い床で寝て褥瘡(じょくそう)(床擦れ)ができたり、人工肛門で調子が悪い人もいた」「避難所の支援は細くても長く続けるべきだと思う」と語った。

 地理的理由から復旧の遅れが指摘されることに藤澤医師は「本県でも起こり得る。気候の厳しさを踏まえ、もっとつらいことが発生すると考えたまちづくりが必要。震災の怖さを再認識して備えなければと感じた」と述べた。紺野院長は「救護班の活動報告に今も『段ボールベッド敷設』があることに驚きを禁じ得ない。過去の教訓が十分に生かされていない部分があると感じる」と話した。

 日赤県支部は今月下旬に救護班の第3班、2月に第4、第5班を派遣するほか、現地の病院に今月22日からと27日から、職員を派遣する計画。

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