漏水事故は復旧の見通し立たず 96事業者への工業用水を断水 沖縄県「大変申し訳ない」

 沖縄県企業局は19日午前、県庁で記者会見を開き、うるま市昆布の導水管漏水事故の修繕工事が難航し、復旧の見通しが立っていないと明らかにした。工事の再開に向けて工法を再検討する。松田了企業局長は会見で、工事のため17~19日に96事業者への工業用水を断水したことに触れ、「一部事業者には損害を生じさせてしまい、大変申し訳ない」と陳謝した。同局は、ダム貯水率の低下で渇水傾向にあることを踏まえ、早急な復旧に努めるとしている。

 県企業局は18日午後5時、損傷部分を鉄板で溶接するため管路約1.7キロの水を完全に抜く作業に着手したが、水の流れを止める制水弁(バルブ)が完全に閉まらず、同午後10時50分に中断を決定した。バルブの設置は約48年前で、経年劣化により生じたさびが閉栓を阻害した可能性があるという。

 管路やバルブは年2回点検している。今回漏水しているのは「基幹管路」で、水供給を支える重要な管路。閉栓すると給水への影響が大きいことから、設置以降、バルブを完全に閉栓したことは一度もなかったという。

 漏水の復旧に向けて同局は現在、別のバルブを閉栓して送水を停止するか、導水管の水を止めずに損傷部分をふさぐ方法での対応を検討している。別のバルブを閉めると下流にある石川浄水場から受水する市町村にも影響が拡大する可能性があり、対応を慎重に判断する考えだ。

記者会見で、今後の見通しなどについて説明する沖縄県企業局の松田了局長(中央)ら=19日、那覇市・同県庁
工事を一時休止している導水管漏水事故の発生現場=19日、沖縄県うるま市昆布
工事を一時休止している導水管漏水事故の発生現場=19日、沖縄県うるま市昆布
工事を一時休止している導水管漏水事故の発生現場=19日、沖縄県うるま市昆布

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