2022年に那須烏山市で発生した「豚熱」 大量死の報告を怠った疑いで養豚場の管理者を書類送検

 おととし(2022年)、那須烏山市の養豚場で豚熱が発生し国内最多の約5万6千頭が処分されたことを巡り、死亡する豚が増えていたにも関わらず報告を怠ったとして、栃木県警察本部は19日、当時、養豚場を経営していた会社と養豚場の管理者だった男性を家畜伝染病予防法違反の疑いで書類送検しました。

 家畜伝染病予防法違反の疑いで書類送検されたのは、養豚場を経営していた東京の「神明畜産」と当時、養豚場の管理者で取締役だった那須烏山市の47歳の男性です。家畜伝染病予防法違反の疑いでの摘発は県内では初めてです。

 県警によりますと男性は「死亡数の増加から豚熱かもしれないと思った。豚熱を発症すれば全頭処分になって会社が倒産する可能性があったことから、一般的な病気の対策をとっていた」と話しているということです。

 「神明畜産」は去年(2023年)9月、グループ会社2社とともに民事再生法の適用を東京地裁に申請しています。県によりますと、おととし7月、「養豚場で豚が死ぬ数が増えている」と匿名の情報が寄せられ養豚場の立ち入り検査を行い豚熱の感染を確認したということです。県はその後、約1カ月半をかけて飼育されていた豚5万6千頭を殺処分しました。

 法律では、平常時より死亡の数が増加した場合は、速やかに県に報告するよう定められていますが、これを怠ったとして、県警察本部は去年4月に県から刑事告発を受け捜査していました。

 福田富一知事は「二度とこのようなことが起こらないよう県内畜産農家に対して異状発見時の早期通報の徹底を指導していく」とコメントしています。

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