「放課後に行くのはイオンぐらい」高校生発案の“ラウンドワン誘致大作戦”に担当者「涙出るくらい嬉しい」

ボウリングやカラオケなどが楽しめるアミューズメント施設、ラウンドワン。全国展開していますが、愛媛県内では松山市に1店舗があるのみ。このラウンドワンを「ぜひ自分たちの街に誘致したい!」と、高校生が誘致活動を展開しています。学校ではラウンドワンの「疑似体験会」まで。活動は、熱を帯びているようです。

去年12月、愛媛県立新居浜南高校の生徒たちが記者会見を開き、ラウンドワンの誘致活動を始めると宣言しました。この施設をなぜ高校生が誘致しようと考えたのでしょうか?

主権者教育を取り入れている新居浜南高校では、生徒らが授業で地域の課題などを学んでいます。街が抱える課題の1つ、若者の定住には遊び場が必要と考えた一部の生徒が校内でアンケートを実施しました。その結果、ラウンドワンが欲しいという回答が最も多かったことから、生徒の有志で委員会を作り誘致活動に乗り出したのです。

誘致委員会メンバー 山中彰恭(あきただ)さん (3年)
「この活動を今の2年生・1年生にも引き継いで欲しいと考えているので、この政策を形にして興味を持ってもらいたいです」

生徒たちの行動は、市議会でも取り上げられました。

新居浜市 石川勝行市長(市議会での答弁)
「今後、誘致委員会の皆さんの計画内容や行政に対する要望を聞き取った上で、行政としてできる限りのサポートアドバイスをして参りたいと考えております」

前向きに取り組む考えを示した石川市長に、生徒は…。

誘致委員会メンバー 三木心太(しいた)さん (3年)
「一番は嬉しかったなと思いました。僕たちが願っていることをしっかりと聞いてくれて前向きに考えてくれている意見を聞いたので、僕たちももっと頑張れるような気がしました」

誘致委員会も、さっそく動きます。生徒たちが計画したのは、学校で開催するラウンドワンの疑似体験会。愛媛県内で唯一ある松山店の担当者も招待しようと、支援者の市議会議員らに案内状を託しました。

生徒たちの行動に、ラウンドワンの担当者も驚きを隠しきれません。

ラウンドワンの担当者
「あのニュースを見て、ほんとに涙出るくらい嬉しくて。ああいったことは他の都道府県聞いたことがないんですよね。住民の方から誘致を懇願されることがなかったので」

体験会を3日後に控え、委員会メンバーは、会場のレイアウトや看板の製作など準備に追われていました。ゲームの内容は「ボウリングと」段ボールで作った「ガンシューティング」など3種目、生徒たちによる手作りのイベントです。

委員会を作ってわずか1か月あまり。いろいろなことが一気に動き出したことに驚きとともに、ちょっと不安も感じているようです。

誘致委員会メンバー 三木心太さん(3年)
「実際は正直言って怖いなと思っています。手探りでやりながらも、ラウンドワンさんや大人の方たちが協力してくれるので、その期待に応えなければならないといけないという怖さがあります」

体験会には、自分たちだけでなく他の高校にも参加と協力を呼びかけました。そして迎えたイベント当日は、ラウンドワンの担当者も見学に訪れました。

参加者たちは、放課後の校舎で生徒手作りのゲームを楽しみます。ボウリングの会場は、なんと廊下。スコアー表は黒板にプロジェクターで映し出すなど、工夫しました。

新居浜市内3つの高校からも生徒たちが訪れ、あちこちで歓声が上がりました。

参加した新居浜西高校の男子生徒
「ほんとに楽しくて、僕たち放課後に行く場所がイオンぐらいしかなくて、ラウンドワンが実際できたらほんとにみんな行くと思うのでぜひ実施してほしいと思っています」

ラウンドワンの担当者も、参加者の様子を楽しみながら見学していました。

ラウンドワン松山店 八野亮介支配人
「今回、生徒の皆さんのパワーと熱意と行動力で、周りの大人が動いてここまで変化していくんだなというのをあらためて感じましたね」

委員会のメンバーは、自分達の発信力に大きな手応えを感じた様です。

誘致委員会メンバー 三木心太さん(3年)
「言ったこと・思ったことを行動に移すってことが大事なんだと思いました。僕たちの中でしか思ってなかったものが、しっかりと発言して行動して、周りを巻き込んでこういうイベントがすることができて、本当に良いイベントだったと思います」

一方、生徒たちは、ラウンドワンの担当者から次回の開催に向け心強い言葉をもらいました。

ラウンドワン エリアマネージャー 久川智治 さん
「(次回は)ぜひ企画段階から、私どもが一緒にバックアップさせていただけたら嬉しいかなと思っています」

さらに見学のため、新居浜南高校を含む市内4校の代表者が松山店に招待されることになりました。

高校生の発案から始まったラウンドワン誘致大作戦。誘致へはまだ道半ばですが、若者たちのムーブメントがものづくりの街で広がりを見せています。

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