ロスマンズカラー見参/偶然の一致/王者AXRのストラテジストが移籍 etc.【IMSA公式テスト木曜Topics】

 1月19日(金)から21日(日)までの三日間、アメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでは、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス24』が行われる。翌週末に控える開幕戦、デイトナ24時間レース前最後の走行機会となるロアでは例年どおり予選も実施される予定だ。そんなデイトナのパドックからテスト直前のトピックをお届けする。

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***IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦する各チームは、木曜日にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで搬入作業を行った。公式セッションには合計59台がエントリーしているが、パドックにはブラッド・ピット主演のF1映画の撮影用に4台のポルシェ911 GT3 Rが加わっている。

***GTDプロおよびGTDクラスに登場する改良型アストンマーティン・バンテージGT3は、新たなホモロゲーションの制限事項に対応するため、更新されたバランス・オブ・パフォーマンス(性能調整/BoP)の調整を受けた。このアップデートには10kgの軽量化とわずかなパワーダウン、リヤウイングアングルを2度マイナス側にする調整が含まれた。

***アクション・エクスプレス・レーシング(AXR)が運営するキャデラック・レーシングでストラテジストを務め、31号車のクルーを2023年のGTPチャンピオンに導いたティム・キーンが、ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ(WTRアンドレッティ)に加わり、ジョーダン・テイラーとルイ・デレトラズがドライブする40号車アキュラARX-06のストラテジーを担当することになった。このクルマにはデイトナでコルトン・ハータとジェンソン・バトンが“助っ人”として参加する。

***この移籍はウェザーテック選手権においてGTPで2台、GTDで1台、計3台のマシンを走らせるWTRアンドレッティにおける主要な起用策のひとつであり、同様の動きにはアントン・ジュリアン(GTP/オーバーオール・チーム・マネージャー)、マット・ブローガン(GTDチーム・マネージャー)らの異動も含まれる。

***WTRアンドレッティの副社長兼ゼネラルマネージャーであるトラビス・ハウジはSportscar365の取材に対し、来週末のレースにはHRC US(ホンダ・レーシング・コーポレーションUSA/前HPD)のスタッフ約40人を含め、90人以上のチームスタッフが現地入りする予定だと語った。チームは今週末、32のワークステーションを収容する巨大なピット施設を含め、6台のトランスポーターを現地に用意している。

***一方、キーンの後任にはベテラン・ストラテジストのピーター・バロンが起用されている。スターワークス・モータースポーツの元オーナーであるバロンは、昨年すでにドライバー・パフォーマンス・エンジニアとしてAXRチームに参加しており、それ以前は01号車チップ・ガナッシ・レーシング・キャデラックのストラテジストを担当していた。

マスタング・サンプリングとメインスポンサー契約を結んだプロトン・コンペティションの5号車ポルシェ963

***ジャンマリア・ブルーニは、マスタング・サンプリングがスポンサードする5号車ポルシェ963のフルタイムドライバーとして、2024年シーズンをプロトン・コンペティションとともにする。Sportscar365は、ハリー・ティンクネルとともにWEC世界耐久選手権にフル参戦することが決まっているニール・ジャニが、ミシュラン・エンデュランス・カップに参加する第3ドライバーであることを理解しているが、両シリーズの残りのラインアップは依然として流動的だ。

***今週末はブルーニとジャニにアレッシオ・ピカリエッロが加わり、ロレックス24時間にはさらにロマン・デュマが合流する。デュマは現在、サウジアラビアで行われている第46回ダカールラリーに参戦中だが、今週金曜日がラリーの最終日となっている。

***ジャニはGTPとWECハイパーカーに加えて、アウディのF1プロジェクトにも深く関わっている。彼は元ポルシェLMP1チームのボスであるアンドレアス・ザイドルの指揮の下、2025年にスタートする予定のプログラムのエンジン開発とシムドライバーを務めている。

ロスマンズカラーをイメージしたリバリーで、デイトナ24時間に参戦する81号車オレカ07・ギブソン(ドラゴンスピード)

***ドラゴンスピードの81号車オレカ07・ギブソンは、ロスマンズのカラーリングをまとっている。ドライバーのひとりであるエリック・ルクスは、チームオーナーのエルトン・ジュリアンがこのコンセプトを思いついた、とSportscar365に説明した。ジュリアンのチームはLMP2クラスで過去5年間で4回目となる優勝を目指している。

***ケリーモス・ウィズ・ライリーの共同オーナーであるビル・ライリーによると、「時間内にプログラムをまとめることができない」という理由でデイトナ24時間への出走を断念した同チームの91号車ポルシェ911 GT3 Rは今シーズン後半に登場する可能性があるという。

***またライリーは、チームの92号車ポルシェに移籍したトレント・ハインドマンが、フルシーズンドライバーのアレック・ウーデルとデビッド・ブリュレとともに、エンデュランス・カップの残りのレースをこのマシンで戦う予定であることを明らかにした。

AOレーシングがLMP2クラスで走らせるドラゴンカラーのマシン。愛称はスパイク

■GTDチャンピオンがGTDプロクラスにステップアップ

***AOレーシングの共同発起人、グンナー・ジャネットはチームがデイトナに到着する前に、フロリダ州ブラッドフォード郡にあるフロリダ・インターナショナル・ラリー&モータースポーツ・パークで、“スパイク”と名付けられた新しいLMP2シャシーと恐竜カラーのポルシェ911 GT3 R“レキシー”をシェイクダウンさせた。

***ジャネットはAOレーシングのマシンが「77」と「99」というゼッケンナンバーを使用することについて、まったくの偶然であると語った。これらの数字はAOレーシングがAsLMSアジアン・ル・マン・シリーズでパートナーシップを結ぶプロトン・コンペティションがWECで使用している。しかしIMSAシリーズにおいてはAOとドイツチームの間に「関連性はない」と彼は強調した。

***「実はPJ(ハイエット/発起人のひとり)がグリーンアースの古いクルマを所有しているんだ」とジャネットはSportscar365に語った。「99番を付けたクルマがワークショップに置いてある。99にはいい思い出がたくさんあるから、99にしたかったんだ。それに合わせて別のゾロ目が欲しかっただけだよ」

***AOチームは今シーズン、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズでの英国チームとの提携の一環として、TFスポーツのエンジニアをLMP2カーチームに起用する。

2010年のALMSアメリカン・ル・マン・シリーズに参戦していたグリーンアース・チーム・グンナーの99号車オレカFLM09(クリスチャン・ツーゲル/グンナー・ジャネット/エルトン・ジュリアン組)

***ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)は先週、ノースカロライナ州のステイツビル空港でポルシェ963のシェイクダウンを実施した。

***ポール・ミラー・レーシングのBMW M4 GT3は今年新たにiHeartRadioのプライマリースポンサーを獲得したが、2023年にGTDクラスチャンピオンを獲得した当時のカラーリングを維持している。ブライアン・セラーズと新たにBMWファクトリードライバーとなったマディソン・スノーのペアは、今季からGTDプロクラスにステップアップする。

***AEROサステイナブル・ペイント・テクノロジーの親会社であるエントロテック社は、ユナイテッド・オートスポーツの少数株主となった。同社の創設者兼CEOであるジム・マクガイアは、今年からウェザーテック選手権にフル参戦するユナイテッド・オートスポーツのレギュラードライバーだ。

***1月19日より三日間にわたって行われる『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス24』のトラックアクションは初日、金曜の11時から12時30分と、16時15分から18時までの2セッションで開始される。

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