F1の最高商務責任者にエミリー・プレイザーが就任。昨年はラスベガスGPの初開催に尽力

 F1は、エミリー・プレイザーをF1の商業権保有者の最高商務責任者(チーフコマーシャルオフィサー/CCO)に任命した。プレイザーはF1のCEOステファノ・ドメニカリの直属となる。

 プレイザーはこの職務をF1ラスベガスGPと合わせて担った。ラスベガスGPは、F1がレース設営と運営を行う地元のレースプロモーターも兼ねるという点がユニークな、カレンダーで唯一のイベントとなっている。プレイザーはラスベガスGPを運営するため、母国イギリスのロンドンから引っ越した。それ以前、彼女はフォーミュラワン・マネジメント(FOM)で商業開発とレースプロモーションの責任者として仕事をしてきた。

 41年ぶりのラスベガスでのレースのために、F1は交通量の多い地元の市道を閉鎖したり、有名なストリップ沿いのホテルカジノのオーナーたちと連携を取ったりといった、多くの特有の問題を克服する必要があった。

 プレイザーは、初開催のイベントを構築するなかで、いくつか重要なパートナーシップを確保したことで評価された。このグランプリでは初日のフリー走行1回目にウォーターバルブカバーがカルロス・サインツ(フェラーリ)のマシンに損傷を与えるなどの問題が起きたものの、レースは成功と見なされた。『Sports Business Journal』によると、ラスベガスGPのタイトルパートナー料は、ハイネケン・シルバーだけでも年間1500万ドル(約22億円)になるという。

2023年F1第22戦ラスベガスGP ダニエル・リカルド(アルファタウリ)

 世界的なモータースポーツビジネスサイト『Blackbook Motorsport』によると、ラスベガスGPはF1の第3四半期の収益におよそ7億1500万ドル(約1060億円)をもたらし、前年同期比では7%の増加となった。また『The Nevada Independent』の報道によると、『MGMリゾーツ・インターナショナル』の最高財務責任者ジョナサン・ハルクヤードは、「当社のホテル収益の点では、これまでで最も総収入の多い週末となった」と述べたという。

 プレイザーは、F1全体に同様の商業的感性をもたらすことになるだろう。彼女は引き続きラスベガスGPの運営を監督しつつ、一方ではCCOとしてアメリカ南西部とロンドンを行き来することになる。

 競技を統括するFIAも、スタッフを一新する時期を迎えている。先週、スティーブ・ニールセンが就任からわずか12カ月でシングルシーター部門のスポーティングディレクターを辞任したことを受けて、彼の後任としてティム・マリオンが任命された。

スティーブ・ニールセン(FIA)

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