コロナ禍で“使用停止”のハンドドライヤーが進化 空気を循環洗浄→ウイルスや菌を低減させ匂いも抑える 大逆境を乗り越えた現在地

飛沫感染リスクの観点から、コロナ禍で一時、大打撃を受けたのがこのハンドドライヤー。開発した地元・岐阜県の大手メーカーの製作所が巻き返しを図っています。

トイレなどでよく目にする「ハンドドライヤー」。風の力で、手についた水滴を吹き飛ばし乾かします。

実は、強風を「手の両側から当てる」方式の製品は、30年前に三菱電機の中津川製作所が日本で初めて開発したとのこと。製品名は「ジェットタオル」です。

(大野和之記者)
「ジェットタオルの正しい使い方は『手は横から入れる』ことだそうです」

機械には、上からでなく横から手を入れることで水が顔の方にはねかえらず、また、手を回すように動かすことで、素早く乾かすことができるんだそうです。

この三菱電機のハンドドライヤーは、発売以来、順調に売り上げを伸ばしてきましたが…

(三菱電機 中津川製作所 佐藤哲さん)
「納入して1~2年のハンドドライヤーが(使用停止の)張り紙をされるという悔しいというか、悲しい思いもしておりました」

2020年、政府の新型コロナ対策専門家会議で出された事業社向けの業種別ガイドラインで、ハンドドライヤーは利用「全面禁止」に。三菱電機は独自にハンドドライヤーによる飛沫感染のリスクは高くはないことを検証しましたが、販売額は一時、コロナ禍前の約2割まで減少しました。

新商品でコロナ禍前の7割まで業績が回復

そこで、衛生面での信頼を高めるため新たに開発したのが!

(三菱電機 中津川製作所・太田織絵さん)
「三菱ハンドドライヤー ジェットタオル スリムタイプ 衛生強化モデルです。主な特徴は設置空間の空気をきれいにすることが可能」

手を乾かすだけでなく、トイレなど設置場所の空気自体を循環洗浄して、ウイルスや菌を低減させ、匂いも抑えることができるという新製品です。

この新製品の発売もあって、現在はコロナ禍前の7割程度まで業績が回復しました。

電源があれば使用できるため、三菱電機の担当者は能登半島地震の被災地でもトイレの空気清浄に貢献できるのではないかと話します。コロナ禍を経て進化したハンドドライヤーが、地震災害の現場でも力を発揮するかもしれません。

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