能登半島地震で被災地に派遣 消防士に聞く いま必要な備えとは

1日に発生した能登半島地震で被災地に派遣された緊急消防援助隊で奈良県の大隊長を務めた男性に話を聞きました。現地の活動を振り返って感じたこと、そして今、私たちが備えるべきことは…。

消防庁の要請を受けて全国各地から被災地に派遣される緊急消防援助隊。奈良県からは4陣に分けて部隊が編成され、1月10日まで延べ541人の隊員が救助や捜索活動などを行いました。第1陣と第3陣で大隊長を務めた山本雅史さんです。第1陣は情報を集めながら現地に向かうことが主な任務で、厳しい道路状況に苦労したと振り返ります。

緊急消防援助隊 奈良県大隊 第1・3陣で大隊長を務めた 山本雅史さん

「徳田大津から先は、もうまったく通れないような道路状況でした。迂回、迂回を繰り返しながらも通れる道を探して、やはり被災地に早く入って、早く活動するという目的がありますので、それがスムーズに進出できないというもどかしさはかなりありました。」

結局、山本さんは海上保安庁の船で金沢港から輪島港へ。本格的な活動に入ることができたのは、1月3日だったといいます。

「これでしたらもう両サイドの家が崩れている。さらに高台にある住宅地は土砂(土台)自体が崩れているといった状況。輪島市内へ入ればこういう状況が多数見受けられたといった感じになります。」

奈良県大隊は輪島市内で、逃げ遅れた人がいないか住宅を1軒1軒回って確認したといいます。第1陣から第4陣まででその数あわせて2521件。厳しい寒さと立て続けに起こる余震のなかでの活動でした。

「隊員は当然寒いですけど、住民はもっと寒いと思いますし『逃げておられるだろう』ですましたら、後で(中に)おられたら…となってしまいますので、そこを確実につぶしていくのが、かなり時間を要したし、苦労した部分ではあります。」

突然やってくる地震に備えるため、今何が重要か。山本さんは活動を通して、「地域のつながり」など日頃の備えの大切を感じたと話します。

「やっぱり近所の方に情報を取る。近所の方が『そこの家の方は、どこどこの避難所におられるよ』とかいった情報もありました。近所のつながりっていうのはこういった地震等で被害を受けた場合、かなり有効な情報ではあったので、そういうつながりってやっぱり大事なんやなっていうのはものすごく思いました。消防、自衛隊、警察、それぞれが災害が起こってすぐに現地に入れるわけではないです。それまでの間どうするかというのは事前にいろいろ備えておくのは重要かなと思います。どこに避難所があるのか、どういった備えをしておくのかというのも、かなり重要なのかなと。」

能登半島地震を教訓に私たちは何をすべきか。起こる可能性のある災害を知り、日常から備えることが求められます。

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