阪神・淡路大震災を教訓に創設された兵庫県住宅再建共済制度(フェニックス共済)の加入率が過去10年以上、9%台で伸び悩んでいる。昨年12月末時点では加入戸数16万7620戸で、加入率9.5%は2022年度から横ばい。都市部で低い一方、淡路が23.3%、西播磨は18.1%と地域差が大きい。県はインターネット広告に力を入れ、より広く周知を目指す。
フェニックス共済は県が05年、県内の住宅所有者を対象に「共助」の仕組みとして創設。年額5千円の掛け金を払うと、自然災害で家屋が全半壊した際、再建・購入した場合に最大600万円、補修の場合は最大200万円などが給付される。地震保険とも併用でき、掛け金に500円を上乗せすれば準半壊でも一部給付を受けられる。県防災支援課は「簡単な手続きで給付されるので『すぐに受け取れて助かった』と喜ぶ声が多い」と話す。
昨年12月末時点の市町別加入率は、南あわじ市(30.7%)▽佐用町(30.6%)▽神河町(25.9%)▽小野市(22.4%)▽洲本市(21.2%)-の順で高い。南海トラフ巨大地震で津波浸水被害が予測される淡路島や、09年8月の県西・北部豪雨で大きな被害を受けた佐用町で、加入への意識が高いと同課は分析している。
制度創設からこれまでの給付実績は、452戸に対して計約6億9千万円。09年の県西・北部豪雨では佐用町や豊岡市など5市町の214戸に計約4億5千万円を、18年9月の台風21号災害では高潮などに見舞われた神戸、尼崎、西宮市など8市の62戸に計約2千万円を給付した。23年度は、8月に但馬地域を襲った台風7号災害で香美町の2戸などに給付があった。
県は加入率15%を目標に掲げ、23年度はヤフーやグーグル、ユーチューブ、交流サイト(SNS)など8媒体にインターネット広告を出して効果を探っている。
国内外の大きな災害が報道された際には加入が増える傾向にあり、1日の能登半島地震発生後、インターネットでの申込件数が例年の数倍に増えているという。同課は「地震が起きて身の回りの備えを見直した人が多いのでは。お守りとして加入してもらえるよう、適切なタイミングで周知を進めたい」とする。
県住宅再建共済基金TEL078.371.1000 (金 慶順)