岸田首相が「宏池会」解散を表明 広島の受け止めは

岸田総理大臣が、自ら会長を務めていた「宏池会」いわゆる「岸田派」の解散を表明しました。広島とゆかりの深い派閥で起きたこの事態に、県内でも波紋が広がっています。

政治資金パーティ-を巡る事件は、三派閥の会計責任者や国会議員の刑事処分に発展…。このうち、岸田派の元会計責任者は約3000万円を収支報告書に記載していなかったとして、略式起訴されました。

■岸田文雄 首相(19日)

「政治の信頼回復のために、宏池会(岸田派)解散するということを申し上げました」

岸田首相は2023年12月まで「宏池会」の会長を務めていました。その解散表明に、派閥所属の国会議員は…。

■小島敏文 衆院議員(比例中国・宏池会)

「率直に驚きましたね」

「近いうちには宏池会の幹部から説明があるんだろうと」

広島の自民党関係者は…。

■自民党広島県連 中本隆志 会長代理

「総理の頭の中では、もうこれ以上派閥政治の中で、これを抑止することは

難しいという判断だったというふうに思うんです」

「その勇気と決断力に心より、私は敬意を表させていただきたい」

有権者の受け止めは…。

■市民

「致し方ない。岸田さんがそういう道を選ばれたから仕方ない」

■市民

「根本的な解決になるとは思えない」

「明確にこれはこういうことで使われているという。その辺をクリアにしていかないと、どんどん市民の気持ちは離れていくんじゃないかなと思いますけど」

広島と長い関わりがある「宏池会」…。創設したのは、竹原市出身の池田勇人・元首相です。

「所得倍増計画」の旗印のもと、戦後日本の高度成長を牽引しました。池田元首相の地元、竹原市民は…。

■竹原市民

「残念じゃね。あれだけ所得倍増とかいろいろあったけど」

「火がひとつ消えるような気がするよ」

池田元首相の甥、大貫仁士さんです。

■大貫仁士さん

「宏池会が無くなるということはさびしいことですけども、広島出身の岸田さんが総理の時にそういう決断をされたというのも時代の流れを感じます」

池田元首相が義理の祖父にあたる寺田稔議員は「私の地元発の歴史と伝統ある宏池会が解散の方向であることは、誠に残念」と、コメントしています。

1957年に創設された「宏池会」…。

自民党内で最も長い歴史を持つ派閥で、大平正芳、鈴木善幸、宮沢喜一の各首相を輩出し「保守本流」を自負します。

国会議員時代「宏池会」に所属していた政治評論家の田中秀征さんは…。

■田中秀征さん

「戦後の保守の望ましい潮流っていうものは何らかの形で残す努力をしていかなかったら、やっぱり自民党の心棒ってのが失われていく感じがする。金の出入り、不祥事のために大事な思想潮流が失われていくのは残念なこと」

派閥の解散にまで拡大した「政治とカネ」の問題。岸田首相の決断は国民の「疑念」を払拭し「信頼回復」につながるのか…。正念場がつづきます。

(2024年1月19日放送)

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