61才カルロス・サインツSr.が自身4度目の総合優勝達成。二輪はホンダのブラベックが栄冠【ダカールラリー】

 W2RC世界ラリーレイド選手権の2024年シーズン開幕戦『第46回ダカールラリー2024』の総合優勝が決まる“ステージ12”が1月19日(金)に行われ、17番手で同ステージを走り切ったチーム・アウディスポーツのカルロス・サインツ(アウディRS Q e-tron E2)が自身4度目、2020年以来4年ぶりとなる四輪部門総合優勝を飾った。

 二輪部門では、ステージ12で5番手タイムを記録したモンスターエナジー・ホンダ・チームのリッキー・ブラベック(ホンダCRF450ラリー)が、自身2度目で同じく4年ぶりの部門総合優勝を果たしている。

 1月5日(金)のプロローグランで開幕した第46回ダカールラリー。中東に位置するサウジアラビアの国土一帯を戦いの舞台とし、北西部のアル・ウラからスタートを切った選手らは、東西方向に国土を1往復するかたちで14日間にわたり過酷なステージでの戦いを重ねてきた。

 迎えた最終日のステージ12は、フィニッシュ地点であるヤンブーを起点として円を描き同地に戻ってくる、175kmのスペシャルステージを含む計328kmのループステージで争われる。四輪部門の暫定首位となっていたサインツとルーカス・クルスのペアは、今大会で最大のライバルであったバーレーン・レイド・エクストリームのセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンター)が前日のステージ11で失速したこともあり、総合優勝をほとんど手中に収めた状態でこの日を迎えた。

 新たに暫定2番手に浮上したオーバードライブ・レーシングのギヨーム・ド・メビウス(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)とは1時間27分06秒の差があり、サインツにとっての最終ステージは自分自身との戦いとなったが、無事に17番手でステージ12を走り切り、2010年、2018年、2020年に続く自身4度目のダカールラリー総合優勝を達成した。

 61歳のサインツに次ぐ総合2位には、ステージ12を2番手タイムで走破したメビウスが1時間20分25秒差で続いた。そして総合3位にはローブが入り、ステージ11の失速で順位を落としたものの最後までペースを緩めず、ステージ12の最速タイムを記録してメビウスから4分47秒差となる表彰台の一角を守り切る熱い走りを見せた。

  また、2022年、2023年のダカールラリーを制したTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、チーム史上最多となる5台体制で戦いに臨んでいた。ステージ10時点ではルーカス・モラエス(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U)が総合3番手につけていたが、ステージ11で失速。最終的に陣営内最上位となったのは初めてのダカールラリー参戦となるガイ・ボッテリルと、2021年からTGRでコドライバーを務めてきたブレット・カミングスのコンビで、サインツから2時間40分33秒遅れの6位となっている。

総合優勝を飾ったカルロス・サインツ(アウディRS Q e-tron E2) ダカールラリー2024
ステージ12で2番手タイムを記録し、総合順位でも2位となったギヨーム・ド・メビウス(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)
ステージ12で今大会5度目のSS勝利をあげて総合3位となったセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンター)
TOYOTA GAZOO Racing勢の中で最上位となったガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス組(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U) ダカールラリー2024
ガイ・ボッテリル(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U) ダカールラリー2024

 二輪部門はラリーの折り返しとなるステージ7で、わずか1秒差にまで肉薄していたが、こちらのトップ争いにもピリオドが打たれた。

 2024年の優勝争いは、ラリー後半戦つねに暫定首位を守り続けてきたモンスターエナジー・ホンダ・チームのブラベック(ホンダCRF450ラリー)と、ラリー前半戦で優位に立ってから折返しの“48時間クロノ”で総合2番手に順位を下げてからも離されまいとプッシュを続けてきた2番手のヒーロー・モータースポーツ・チーム・ラリーのロス・ブランチ(ヒーロー450ラリー)というふたりに絞られていた。

 10分22秒のギャップがある状況で始まった最終ステージは、ブラベックが7番手、ブランチが31秒遅れの9番手でともにフィニッシュ。ブラベックが10分53秒のリードを保ち自身2度目、4年ぶりの二輪部門総合優勝を飾った。総合2位となったブランチは自身初のダカールラリー表彰台獲得を果たし、来年のリベンジを誓う結果となった。

 同部門でステージ12の最速タイムを記録したのは、レッドブル・KTMファクトリー・レーシングのケビン・ベナビデス(KTM450ラリー・ファクトリー)で、今大会3度目のステージウイン。ステージ2番手にはチームメイトのトビー・プライス(KTM450ラリー・ファクトリー)が続き、KTM勢がワン・ツーで最終ステージを締めくくっている。

 日本勢は、日野600シリーズでトラック部門に挑む菅原照仁(日野チームスガワラ)がステージ12を17番手で走り抜け、部門総合7位で“世界一過酷なラリー”を走破した。そしてトヨタ・ランドクルーザーGRスポーツで市販車部門に参戦したチームランドクルーザー・トヨタオートボデーは、社員ドライバーの三浦昂がクラス首位、ロナルド・バソが2番手で最終ステージを完走。これにより三浦はストッククラスのクラス優勝を達成し、バソが2位に続いてワン・ツー・フィニッシュをマーク。トヨタ車体は市販車部門11連覇を達成した。

二輪部門の総合順位でトップ3となった(左から)2位ロス・ブランチ、優勝リッキー・ブラベック、3位エイドリアン・ファン・ベベレン
二輪部門の総合順位でトップ3となった2位ロス・ブランチ(左)、優勝リッキー・ブラベック(中)、3位エイドリアン・ファン・ベベレン(右)
ステージ12でトップタイムを記録したレッドブル・KTMファクトリー・レーシングのケビン・ベナビデス(KTM450ラリー・ファクトリー)
アウディRS Q e-tron E2に喜びのキスをするカルロス・サインツ
実の父カルロス・サインツSr.の優勝を祝福する子息のカルロス・サインツ

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