元カレに未練はないのに「デートした男性」に飛び込んでいけない…悩む女性の葛藤とは?

大好きな人がいたけれどうまくいかずに終わり、気持ちを切り替えて別の人を好きになり、「新しい恋愛」を手にしたけれどなぜか安らげない。

過去の相手に未練があるわけではなく、気持ちは前を向いていると自分では思っているのに好きになった人とつまずいてしまうのは、「人を受け入れる自分」がまだ整っていないのかもしれません。

失恋後の「新しい恋愛」で失敗するのはなぜなのか、お伝えします。

恋愛は一対一のつながり

浮気や二股、三股など複数の人と恋愛をする人も確かにいますが、そもそも恋愛は一対一で愛情を育てていく関係です。

お互いに「この人だけ」と思うから、つながりに感謝して向ける愛情も受け取る気持ちも大切にしたいと思うもの。

失恋はその人とふたりだけの愛情を育てる機会を失った状態であり、未練を抱えて自分だけ好意を大きくしていても、相手が受け取らない限りは先のある関係にはなれません。

だからその人への気持ちは過去のものとして置き、心に誰も迎えていないまっさらな自分でまた別の誰かを好きになることができます。

別れた人を忘れられないまま、そんな自分を否定するように新しい人を求める人もいますが、その人に固定されない好意はぶれやすく素直さも持てないので、結局は衝突やすれ違いが生まれて早々に終わってしまうこともあります。

そうではなく、うまくいかなかった恋愛を過去として心の整理をつけ、改めて一対一の恋愛をしようと思って好きになれた人がいるのに、なぜかその人を心に迎えて落ち着くことができずに悩む人もいます。

自分のなかに生まれた好意は確かに実感するのに、その人と向き合うと感情が大きく揺れ動いたり振る舞いがおかしくなったり、「前はこうじゃなかったのに」と自分のおかしさに気がつくと、人を好きになることそのものが怖くなります。

失恋を乗り越えたはずなのに「新しい恋愛」に安らげないときは、前向きさとは別の「自信のなさ」が原因かもしれません。

「うまくいかなかった自分」が消えない

「今の好きな人とうまくいかない」と悩む30代のある女性は、3ヶ月前に別れた元彼には「いっさいの未練や執着がない」と言い切り、実際に過去の恋愛を客観的に見てダメだった自分を受け入れているのはわかりました。

お付き合いまで進めそうな雰囲気の、いわゆる「いい感じ」になっている今の好きな人とは、デートを重ね楽しい時間を過ごせているそうです。

彼女が苦しんでいたのは、「告白したいと思うしOKしてもらえる想像もできるけど、本当は付き合うことを自分は望んでいないのかも」という葛藤です。

一緒に買い物をしたり映画を観たり、一度は彼女の部屋でお茶もするほどその人と心の距離は近いのに、恋人関係になる自分を思い浮かべると「嫌な姿を見せてしまいそう」と不安のほうが大きくなる、と彼女は言いました。

男性のほうも付き合うことを求めているのは態度を見れば伝わり、それをうれしいと感じるのにいざその関係に身を置く自分を考えると、「ちゃんとやれるの?」という不信感が先に来るのですね。

彼女の気持ちを細かく聞くと、そこには過去の交際でうまくいかなかった自分へのおそれがありました。

彼氏に甘えてわがままをぶつけていたこと、でも彼氏の要求はそのときの気分しだいで受け入れたり断ったりしていたこと、それに疲れた彼氏が「距離を置きたい」と言い出して喧嘩になり別れたこと、「好きな人を大切にできなかった自分」への後悔が強かったのですね。

彼女のなかには「今度もそうなるかもしれない」の不安が無意識に根を張っており、それが交際への進展を妨げるストッパーになっていました。

元彼への未練などとはまったく別のことで、彼女は過去を乗り越えていなかったといえます。

「できた自分」を思い出すことで自信を取り戻す

そんな自分を正面から見て反省し、「好かれているのは当たり前ではない、相手の気持ちに感謝してその自分をしっかりと伝えていく」、彼女は気がついた弱さから逃げずにそう決意していました。

そうなのに、「新しい自分」で好きになった人といざ交際に進めそうな状態になると逃げ腰になるのは、「その自分で成功するかどうかわからない」という自信のなさが原因かもと感じました。

その人と一緒にいたいと思うと、失敗した自分の姿ばかり心のなかで繰り返してしまうのですね。

失恋の痛みは、元恋人への気持ちはなくても「好きな人とうまくいかなかった自分」の事実としてしっかりと心に残り、次の恋愛をくじけさせます。

そんなときは、「その人との恋愛で自分は何ができたか」をもう一度思い出すのが肝心です。

仕事が忙しい彼氏のために手作りのお弁当を作っていたこと、おうちデートでは彼氏の好きな映画を優先していたこと、体調を気遣って栄養ドリンクを帰りに渡していたこと、「今日もお疲れさま」の言葉を毎日欠かさず送っていたこと。

それらは見返りを求めてしたことではなく、彼女が「そうしたい」と素直に思って動いていた姿です。

そんな彼女を見て彼氏のほうは「ありがとう」と言ってくれていた、その「事実」もまた、過去の交際には含まれます。

ダメだった自分ばかり思い出すと不安が募るのは当たり前で、そうではなく「できた自分」を忘れない姿勢が自信を取り戻します。

好きな人を大切にできる自分も確実にいて、だから交際は続いていた、終わってしまったのは彼女にも原因があるとしても、忘れてはいけないのは「好意を素直に伝えることができていた自分」です。

自分は人を愛することができるのだ、という純粋な「事実」は、どんなときでも好きな人を受け入れる心の器になります。

「人を受け入れたい自分」を信じる

彼女は、元彼との交際で「できた自分」についてはまったく見ていませんでした。

自分のわがままや依存が原因で振られてしまった、その事実だけを心に残しており、反省して乗り越えたつもりでも「新しい自分」に自信を持てなければ次の恋愛もうまくいきません。

失敗した自分と等しく「できた自分」も認めてあげることで、今度は「次も素直に気持ちを伝えられる」と信じられるはず。

こんな視点の転換も、失恋後の新しい恋愛で幸せになるには大切です。

今の好きな人と付き合いたいのに不安がある、自分について葛藤するのは「いい自分になりたい」と思うからこそで、人を受け入れたいという本音を忘れたくないですね。

彼女は、元彼との恋愛で自分は何をしていたか、何を伝えていたかをもう一度思い出しました。

そうすると、「相手の受け取り方に関わらず好意を届けられる自分」に安らいでいたこと、当然に動ける自分の力を改めて知ることができます。

依存していた部分も確かにあるけれど、気がついて「もうしない」と決めたなら次の恋愛でもその決意が活かされるはずです。

失恋後の新しい恋愛では、「人を受け入れたい自分」と同時に「好きな人を大切にできる自分」を正しく知っておくことも、一対一で愛情を育てる自信になります。

失恋は、「失敗した自分」を色濃く残します。ダメだったのが事実だとしても、その一方で愛情を伝えられた自分の姿もまたあるはずです。

好きな人を大切にできる自信は、与えられるものではなくみずからの意思で築くもの。

「それができる自分」を忘れず、新しい恋愛を楽しみたいですね。

(mimot.(ミモット)/ 弘田 香)

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