デイトナ24時間に初参戦するバトンの挑戦。ポルシェとアキュラの乗り換えによって生じる苦痛の理由

 ジェンソン・バトンは、1月27~28日に開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦『ロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間レース)』に向けて、アキュラのLMDhマシンに順応することは、ポルシェ963のドライビングに慣れた後ではチャレンジになると認めている。

 2009年のF1ワールドチャンピオンであるバトンは、ジョーダン・テイラーとルイ・デレトラズ、コルトン・ハータとともに40号車アキュラARX-06のシェアするメンバーのひとりとして、強豪チームであるウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ(WTRアンドレッティ)からデイトナ24時間への初参戦を果たす。

 バトンは昨シーズンの終わりにJDCミラー・モータースポーツが運営するポルシェ963のステアリングを握り、最終戦モチュール・プチ・ル・マン(ロード・アトランタ10時間)でIMSAシリーズへのデビューを飾った後、先月デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われたIMSA公認テストで初めてアキュラのLMDhマシンに触れた。

 その後、彼はハーツ・チーム・JOTAの一員となることがアナウンスされた。963を使用するポルシェ・カスタマーチームのWEC世界耐久選手権フルタイムドライバーとなったイギリス人ドライバーは先日、バーレーンでのプライベートテストに参加している。

 ポルシェでのラップを多く重ねる一方、アキュラではわずかな周回数しか走っていないバトンは、今週のロア・ビフォア・ザ・ロレックス24(IMSA公式テスト)を利用してARX-06のシステムを使いこなせるようになりたいと考えている。

ジェンソン・バトンが2023年IMSA最終戦プチ・ル・マンでステアリングを握った5号車ポルシェ963(JDCミラー・モータースポーツ)

「(アキュラとポルシェのクルマを)比べたくはないけれど、どちらもやることは同じだ」とSportscar365に語ったバトン。

「クルマに搭載されているシステムでいえば、どちらも同じようなことができる。でも、それらは(ふたつのクルマで)名前が違う。またステアリングの違う場所にいるんだ。彼らがどこにいるかを覚えるのが一番の苦痛だ!」

「これらのクルマは複雑で、難しいのは自分が自由に使えるツールを見つけ出し、運転しながらそれを考えることなんだ。今週はテストが2、3日あるのはいいことだ。今のところ僕は(アキュラARX-06で)25周しか走っていないからね。もう少し走りたいと思っている」

 バトンは、昨年12月のテストでは59台がフルに集まらなかったため、コース上のトラフィックへの対応を学ぶことも今週のデイトナでの走行で大きな焦点になると語る。

 1月19日に44歳の誕生日を迎えた元F1王者は、「12月のテストでは参加台数がはるかに少なかった。だから今回はトラフィックに巻き込まれるのを楽しみにしている」とコメント。

「昨年のレースを見たけど、オーバーテイクの機会が多いインフィールドは、まるで狂ったような状態だったのでトラフィックへの対処法を学ぶ必要があるだろう」

「プチ(・ル・マン)も正気の沙汰ではなかった。あれはとても小さなサーキットだったからだ。今回はまた別のクルマであり、レーシングラインから離れるとそれは違う方法で動作して物事を変更させる。だから、それに慣れることが大事なんだ」

 バトンは、数年にわたる協議の末、これまで実現しなかったWTRアンドレッティとのデイトナ24時間レースへの参戦がようやく実現したことを喜んでいる。

「アキュラとも、ウェイン(・テイラー)とも、ここ3年くらいはこのチームで走りたいという話をずっとしていた。だけどスケジュールなど、いろいろなものがうまく噛み合わなかったんだ」

「WTRには現在2台のクルマがある。経験豊富なドライバーが8人もいるし、チームとして素晴らしい状況だ。サーキットに乗り込んで、自分たちがどの位置にいるのか見るのが待ちきれないよ」

デイトナ24時間レースでジェンソン・バトンがラインアップに加わる、ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティの40号車アキュラARX-06

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