2024年のスーパーGTにはTGR TEAM ENEOS ROOKIEから、スーパーフォーミュラはKids com Team KCMGから参戦することになった福住仁嶺。昨年まで在籍したホンダ陣営からメーカーを跨いでの移籍ということで注目を集めている。先日開催された東京オートサロン2024では、早速TGR（Toyota Gazoo Racing）ドライバーの一員として、各ブースのトークショーに参加。そのオートサロンの会場で、改めて移籍を決断した時の想いや、今季に向けた意気込みを聞いた。
「僕は5歳の頃からレーシングカートを続けてきて、人生のほとんどをレース業界に関わってきました。僕自身もこれからもレースだけで生きていかないといけないと思っています」
「その中で、大きく環境を変えないと、自分がこの先に向けて成長できないのかなと感じることがありまして、その中でこのようなチャンスをいただいて、今年、ルーキーレーシングとKCMGでレースをさせていただくことになりました。この業界に長く携わるために、自分が成長するために、こういう環境を選んだという感じです」
そのように移籍の経緯について語った福住。自身の成長のために新たな環境に身を置く選択をしたが、新天地となるTGR側は歓迎の様子で「本当にモリゾウさんをはじめ、トヨタの人たちも全員ウエルカムな雰囲気でやりやすくさせていただいていますし、人と人とのコミュニケーションを取る機会が非常に多いので、本当に人としての成長もできるのかなと思っています」と、福住は笑顔をみせた。
この環境を変化させることについては、以前から考え始めていたという福住。決断に至るまで悩んだこともあったようだが、今はトヨタ陣営で結果を残すことを一番に考えている様子だ。
「昨年のスーパーGTでは大津（弘樹）選手と（16号車）ARTA MUGENで組ませていただいて、本当に良いシーズンでした。このままずっと仲の良い“お父さんコンビ”（ふたりとも幼い子供がいる）というのもいいなと思ったこともありましたけど……僕としては、環境を大きく変えたいなという思いが強くあって、こういう決断に至りました。僕の中ではこれはチャンスでしかないと思っています」
「もちろんプレッシャーになる部分も多いです。移籍してきたドライバーは言い方を変えると助っ人みたいなものですから、そこできちんと役割を果たさないと、移籍した意味もないと思います。早くチームとクルマに慣れて、この環境を与えていただいた関係者のみなさんに恩返したいので、早く結果を残したいです」
TGRの関係者とも順調にコミュニケーションが取れているようで、「オートサロンに来る前もみなさんで食事をする機会もいただいて、そこでコミュニケーションも取れました。関係者のみなさまには、初めてお会いする人が多いですけど、ドライバーに関しては昔から一緒にレースをやっている仲間ですし、まったく面識がないという人はいないので、非常にやりやすいかなと思います」と福住。
「ドライバー関係は馴染んでいる人も多いですけど、チームの方々やトヨタの関係者には初めてお会いする人が多いので、そこに早く馴染めるように、なるべく早くみなさんの名前を覚えて、何も違和感がないような状態で開幕戦を走りたいなと思うので、テストでたくさんコミュニケーションを取っていきたいです」と、力強く語った。
「自分がこのままではダメだという気持ちは常に持っている」という福住。新たな環境を手に入れて、モチベーションも非常に高い様子。2024年シーズンに向けた意気込みを、このように語った。
「ルーキーレーシングは昨年1回も優勝することができなかったので、今年は初戦かしっかりと結果を残せるように優勝とチャンピオンを目指していきたいです。スーパーフォーミュラ（SF）も同じで、チームもモチベーションはすごく高いと感じていますし、自分もこれまで在籍したチームで得た知識を活かしていきたいです」
「2021年にダンディライアンで初優勝した時は、エンジニアの杉崎（公俊）さんが泣いてくれたのですけど、あの時の感動は格別でしたし、あれを思い出したいというか……今年はSFでも良い思いができるように頑張っていきたいと思います」
スーパーGTではさらなる活躍に期待がかかるが、スーパーフォーミュラも同様に目が離せない雰囲気だ。福住はコメントにもあるように、優勝から2シーズン遠ざかっている。昨年12月の合同テスト2日目では、全体で2番手のタイムを記録するなど好調な走りを披露しており、それらを加味すると、今季は久しぶりに上位争いを繰り広げてくれそうな予感だ。
