探査機SLIM、日本初の月着陸 太陽電池が電力発生せず

JAXA相模原キャンパスの記者会見場に映し出された、月に着陸したとみられる小型探査機「SLIM」のデータ映像=20日午前0時20分、相模原市

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、月面着陸に挑戦した探査機SLIM(スリム)について「着陸したことを確認した」と発表した。探査機は着陸後の通信は確立しているが、太陽電池が電力を発生していない状況という。

 地球の約6分の1の重力がある月での着陸は難しく、世界では旧ソ連、米国、中国、インドに続き5カ国目。

 今回は狙った場所から100メートル以内にピンポイント着陸させる世界でも前例のない技術実証が目的。月には水が氷の状態で局所的に存在するとされ、「降りたい場所」に降りる技術が必要になる。JAXAはデータを解析し、着陸精度を約1カ月かけて判断する。他国の着陸精度は目標の数キロ~十数キロで、「降りやすい場所」に降りていた。

 着陸では、スリムが飛行しながら撮影したクレーターや地形の画像と、事前に入力した月面地図を照合して着陸場所を特定する「画像照合航法」を使った。機体には5本の脚があり、1本の主脚で接地後、斜面に向かい倒れ込むように補助脚を接地させる「2段階着陸」で安定を図った。

探査機「SLIM」=2023年6月、鹿児島県の種子島宇宙センター
JAXA相模原キャンパスに展示されている小型探査機「SLIM」の模型=19日深夜、相模原市
小型探査機「SLIM」の月面着陸挑戦について、記者会見に臨むJAXAの(右から)山川宏理事長、国中均理事=20日午前2時9分、相模原市のJAXA相模原キャンパス

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