風力発電に不適エリア 岩手県内の森林3~4割、県が設定の方針

 

 岩手県は、風力発電の開発に適さない保全エリアとして「レッドゾーン」を設定する方針だ。希少生物の生息地や1キロ以内に住居がある場所などが対象で、県内の森林面積の3~4割に及ぶ見通し。自然環境への配慮が不十分な計画が相次ぐ状況を踏まえた対応で、全国でも珍しい。事業者が適地を選ぶ際の参考とし、再生可能エネルギーの推進と環境保全の両立につなげる。

 盛岡市内で18日に開かれた県環境影響評価技術審査会(会長・伊藤歩岩手大理工学部教授)で素案を示した。レッドゾーンは▽イヌワシの重要な生息地▽住居から1キロ以内▽砂防指定地や国・県指定保安林▽国立・国定公園の特別保護地区―などが対象。2023年度内にマップを完成させ、事業者から開発の相談があった際に提示する。

 背景には、重大な懸念のある開発計画が相次いでいる事情がある。本県は風況が良く全国有数の適地として多くの県外企業が関心を寄せ、22年度の環境影響評価(アセスメント)は過去最多の8件に上った。

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