陸自での職場体験を中学校に案内 沖縄・石垣市が資料配布「職業選択の一つ」 反対の市民「教育現場にそぐわない」

 沖縄県石垣市教育委員会が11日、市内の全9中学校長宛てに、自衛隊が作成した陸自石垣駐屯地での職場体験学習の案内を送っていたことが分かった。駐屯地を体験先に選ぶかどうかの判断は学校側に委ねる。

 市教委などによると昨年10月、自衛隊沖縄地方協力本部石垣出張所から職場体験受け入れの打診があった。同出張所が作成した案内の内容を調整した上で、送付を決めた。

 案内は、災害対応機材の見学、装備品を身に着けるなど、体験できる内容を紹介する。入隊後のキャリアの説明、地元出身隊員との懇談も用意。戦闘訓練は盛り込んでいない。

 市教委は「職業選択の一つとして排除はできない。市民感情に配慮して災害時の人命救助に焦点を当てた」と説明。同出張所は「沖縄本島や他府県でも同様に実施している。自衛隊への関心や信頼関係を深めたい」とした。

 資料が届いた学校では、「生徒や保護者の意見を尊重して検討する」「子どもたちの職業選択の自由があるが、島にさまざまな考えがある中、やはり躊躇(ちゅうちょ)する」などの声が上がった。

 石垣島の平和と自然を守る市民連絡会の藤井幸子事務局長は「自衛隊の本来の役割を隠した体験学習。再び教え子を戦場に送ることにつながりかねず、教育現場にそぐわない」と批判した。

(八重山支局・平良孝陽)

陸自石垣駐屯地で、多くの市民を前に展開される地対艦ミサイル=2023年10月、石垣市平得大俣の陸上自衛隊石垣駐屯地

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