筑波大で自動バス発進 実証実験 運転手不足に対応 産学官連携 茨城

実証実験で筑波大構内を巡回する自動運転バス=つくば市天久保

茨城県つくば市や筑波大など7者の連携した自動運転バス運行の実証実験が19日、同市の同大構内で始まった。乗客定員6人の電気自動車(EV)が道路約4キロを1日6便、時計回りに約30分で周回する。この日、報道陣向けのデモンストレーションがあり、運転手がハンドルから手を離した状態で走行した。運行は30日まで(土日を除く)。

運行を担うKDDIによると、既に乗車予約が200件近く入っており、一部日程を除き一般乗車も先着順で可能という。運賃は無料。

バスは最高時速20キロで、一部公道区間があるキャンパスを低速で走行。運転手は道路に設置されたハンプ(段差)を超える際や車を路肩に寄せる時などに、手動に切り替え運転した。

バスはカメラやセンサーを備え、人や車の動きを捉えながら自動走行する。道路にもセンサーを置き、歩行者などの情報をAI(人工知能)が分析して車とやりとりする仕組みも導入した。センサーの覚知した情報は車内モニターで視覚化し、乗客も確認できる。

停留所は6カ所。利用者は携帯電話にアプリを入れると、ロケーションシステムで乗降が記録される。将来的には携帯を持っているだけで乗降できる「ハンズフリー乗車」につなげる。

筑波大の鈴木健嗣教授は「『必要な時に必要な場所へあらゆる移動手段を』が合い言葉。システムや移動手段をつなぐ方法を検討し、人を中心とした使いやすいサービスを提供していきたい」と話した。

実証は「つくばスマートシティ構想」の一環で、「レベル2」(運転手あり)での運行。2025年度には「レベル4」(運転手なし)の運行を目指す。

路線バスは運転手不足や路線減少が全国的に課題となっており、実証を通し産学官が連携し課題解決に結び付けていく。

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